小中学生の約4割が生成AIを利用する時代に

生成AIの発展は目覚ましく、現在ではかなり身近な存在となっていて、小学校でもすでに授業中に生成AIを取り入れる動きが始まっています[1]。

令和7年8月、教育現場で生成AIの利用率がどれくらい広がっているのか、小学校4年生から6年生、および中学生を対象に民間の調査会社が調査を行っています。その結果、約4割が生成AIを利用した経験があることが分かりました。[2]

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教育現場で変わる生成AIの役割:
「思考の具現化」から「学習パートナー」へ

学習活動における生成AIの具体的な活用方法について、文部科学省のガイドラインやパイロット校での実践事例などで確認すると、次のように多岐にわたる場面で生成AIが利活用されていることが分かります。

生成AIが利活用されている場面
  • 創造・思考の支援
  • 制作・表現活動
  • 対話・コミュニケーション
  • 分析・評価・個別活動
  • 情報リテラシー・モラル教育

株式会社内田洋行教育総合研究所[3]が、初等中等教育の現場において生成AIがどのような役割で活用されているのかについて調査を行っています。この調査の結果、令和5年度と令和6年度において、パイロット校で実際に行われていた生成AIの利活用場面に変化が生じていました。

たとえば「アイデアを出させる」「思考を洗練・深掘りさせる」については活用する割合が増えている一方で、「計画や案を作成させる」は減少していました。さらに詳しくみていくと、「データの整理・分析させる」「チェック・評価させる」「物事を説明・解説させる」といったことに生成AIを活用する場面が増加しています。つまり、創造的な活動だけでなく、分析や評価など考えや表現を見直し、改善するために生成AIを活用する場面が増えているということです。

こうしたことから、令和5年度における生成AIの役割は、児童生徒がイメージしたことや考えたことを具現化することに焦点を当てていたのに対し、令和6年度では、児童生徒を多面的に支援するために、学習パートナーとして生成AIを利活用していることが分かります。

教育利用の事例に占める各項目の割合
教育利用の事例に占める各項目の割合/株式会社内田洋行(最終確認:2026.8.28)

小中学生の約4割が生成AIを利用:
期待と不安が入り混じる実態

生成AIは、教育現場での利用頻度が増えるとともに、子どもたちの日常生活にも急速に普及しています。

博報堂教育財団こども研究所が、令和7年5月小学校4年生から6年生および中学生1200人を対象に行った「生成AIの利用実態」に関する調査結果[2]を発表しています。

この調査によると、令和7年時点ですでに全体の約8割の子どもが生成AIを認知しており、約4割の子どもが生成AIを使った経験がありました。

生成AIの認知度・利用割合
生成AIの認知度・利用割合/博報堂教育財団こども研究所(最終確認日:2026.8.28)

また、生成AIを知っている子どもに対して、当てはまることを答えてもらう形式で「生成AIを使うことで、自分自身はどうなりそうだと思うか」という問いに対し、6割を超える子どもが、「好きなことや興味のあることにくわしくなりそう」「新しいことを体験できそう」「デジタルやコンピュータにくわしくなりそう」など、生成AIの利用をポジティブに捉えていました。

その一方で、「自分で考えなくなりそう」と答えた子どもも4割ほど存在し、生成AIという新しい技術に対し、不安を覚えている子どもが一定数いることも分かりました。

生成AIを使うことによる自分自身の変化
生成AIを使うことによる自分自身の変化/博報堂教育財団こども研究所(最終確認日:2026.8.28)

さらに生成AIのイメージについて尋ねてみたところ、「楽しい」「味方」と答える子どもが7割を超えていました。一方で、「優しい⇔こわい」「安心な⇔心配な」「信用できる⇔信用できない」という選択肢については「どちらともいえない/わからない」と回答した子どもが4割近くいます。つまり、子どもたちは抵抗なく生成AIを受け入れているように見えながらも、安全性や信頼性についてはどう判断していいか分からない状態にいることが推測されます。

生成AIのイメージ
生成AIのイメージ/博報堂教育財団こども研究所(最終確認日:2026.8.26)

では、生成AIを使ったことのある子どもたちは、どのようなことに生成AIを利用したのでしょうか? 同調査によると、7割を超える子どもが「分からないことを調べる」という用途で生成AIを利用していました。小学生と中学生の利用目的の差について着目してみると、小学生よりも中学生の方が「文章をつくってもらう」「アイデアを出してもらう」といった場面での利用が増えています。

生成AIの利用目的(学校種別)
生成AIの利用目的(学校種別)/博報堂教育財団こども研究所(最終確認日:2026.8.28)

同じ質問を男女別に見てみると、女子の方が男子に比べて「会話や雑談をする」「悩み事や将来の相談をする」といったように話し相手として生成AIを利用していました。

生成AIの利用目的(男女別)
生成AIの利用目的(男女別)/博報堂教育財団こども研究所(最終確認日:2026.8.26)

さらに同調査において、「生成AIを利用するときに気を付けること」として「知っている」ことを答えてもらう形式で質問をしたところ、「名前や住所を入力しないようにする」がもっとも多く、35.8%でした。その一方で、実際に生成AIを利用している子どもでも、「生成AIが作った画像や音楽をそのままSNSに投稿しない」が29%、「生成AIに気持ちがないということを理解する」が26.7%など、すべての項目において半数にも届いておらず、生成AIについての認識が足りないまま利用していることが分かります。

生成AI利用上の注意点の認知度/
生成AI利用上の注意点の認知度/博報堂教育財団こども研究所(最終確認日:2026.8.26)

生成AIの悪用とサイバー犯罪:低年齢化するリスク

生成AIを「犯罪の相談相手」や「プログラム作成の補助ツール」として使うことによって、これまで専門的な知識や技術が必要だったサイバー攻撃などへのハードルが下がることが懸念されています。実際に、サイバー犯罪の低年齢化が課題となっています。

警察庁によると、令和7年に「不正アクセス禁止法違反」として摘発された248人のうち、3割にあたる81人が10代でした。このうち16人が中学生、42人が高校生となっています。[4][5][6]

不正アクセス禁止法違反検挙件数の推移および不正アクセス禁止法違反被疑者の年齢構成/サイバー警察局便り
不正アクセス禁止法違反検挙件数の推移および不正アクセス禁止法違反被疑者の年齢構成/
サイバー警察局便り(最終確認日:2026.8.28)

たとえば令和8年7月、動画配信サービスの運営会社にサイバー攻撃を仕掛けて業務を妨害したとして高校生が、令和7年2月には中高生3人が生成AIを使って大手携帯会社の通信回線を不正に契約したとして逮捕されています。[7]

いずれも生成AIに相談したことを供述しています。

もし、自分がなにをしているのか、その行為をすることでどのような結果を招くのか…、そういったことを深く考えないまま、生成AIと対話しながらゲーム感覚でサイバー攻撃をしたのだとすれば事態は深刻です。

このほかにも、児童の画像を生成AI等により性的に加工して悪用する事件が増えています。警察が把握しているだけでも令和7年に114件起きており、このうち被害児童の約9割が中学生・高校生でした。また、行為者の約6割が「同級生・同じ学校」の関係にあるという実態が判明しました。[8]

児童の画像を生成AI等により性的に加工し悪用した事案/警察庁
児童の画像を生成AI等により性的に加工し悪用した事案/警察庁

悩み相談の相手にもなる生成AI:
子どもにとって身近な存在へ

前述した「博報堂教育財団子ども研究所」が行った調査でも生成AIを「相談相手」としている子どもが4割程度いましたが、株式会社電通が令和7年6月に行った「対話型生成AIとの関係性に関する意識調査」[9]でも同様の傾向が見られました。

同調査は対話型生成AIを週1回以上利活用している全国の12歳から69歳を対象に実施しています。この調査によると、対話型生成AIに求めていることとして全体的には「自分が知らないことを教えてほしい(46.6%)」「アイデアを出してほしい(42.8%)」となっており、検索機能として利用したり、生成AIと対話しながら考えをまとめたりするために、生成AIを利用している人の割合が高いことが分かりました。一方、10代に焦点を当ててみると「相談に乗ってほしい」「話し相手になってほしい」といった回答の割合が「全体」と比較して高くなっています。

対話型AIに求めていること/株式会社電通
対話型AIに求めていること/株式会社電通(最終確認日:2026.8.28)

こうした結果から、子どもたちにとって対話型AIが、身近な人には相談しにくいことも含め、気持ちや悩みを気軽に共有できる相手になっている可能性がうかがえます。

では、対話型AIに対して悩みを相談することに、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

まず、デメリットとして生成AIは必ずしも「正しいアドバイス」をしてくれるわけではないということが挙げられます。現在の対話型AIの多くは、相談内容への理解が不十分なまま、相談者の考えや発言を肯定する傾向があります。つまり、ネガティブなことや犯罪に関することを相談しても「そんなことを考えてはいけない」といったように制止してくれません。

たとえば、アメリカでは対話型AIとのやり取りによって殺人を企てたり、自殺に至ったりしている事件が起きています。[10][11] もちろん、対話型AIとのやり取りが、どの程度事件と関わりをもっているのかはケースバイケースで、対話型AIへの相談とは直接関係ないケースもあるのかもしれません。

その一方で対話型AIには、時間や場所を問わず相談でき、膨大な知識のなかから瞬時に回答を導き出し、アドバイスをしてくれるというメリットがあります。また、人間に相談する場合と違い、恥ずかしさや不安を軽減できるため、だれかに相談することへのハードルが低い点もメリットとして挙げられるでしょう。

電通の調査によると、複数回答可能な「気軽に感情を共有できる相手は?」という質問に対し、64.9%の人が「対話型AI」と回答していました。これは、対話型AIが親友や母と並ぶ「感情を共有できる相手」として認識されていることを示しています。

気軽に感情を共有できる相手/株式会社電通
気軽に感情を共有できる相手/株式会社電通(最終確認日:2026.8.28)

ただ、前述したように対話型AIの多くは、それがどんな内容であれ肯定的に回答する傾向があります。つまり、子どもが対話型AIだけに相談することには不安が残ります。

子どもが対話型AIを話し相手にしている場合には、AIを相談相手として利用すること自体を否定するのではなく、「AIに相談してもいい。ただし、重要な悩みや困りごとは必ず家族や先生など信頼できる大人にも相談する」というルールを家庭で決めておくことも大切です。

これからの課題は「情報モラル教育」:
学校と家庭でできること

中高生による生成AIの悪用やそれに伴う犯罪・トラブルを防ぐため、文部科学省は「生成AIガイドライン(Ver.2.0)」において、単に技術の利便性を学ぶだけではなく、情報社会で適切な活動を行うための基になる考え方と態度を育てることを強く求めています。

生成AIの普及によって偽情報が増加するなど、さまざまなリスクが指摘されるなかで、どのような情報モラルの理解が必要なのでしょうか?

たとえば個人情報の流出や悪用を防ぐためにAIへの指示文には自分や他人の氏名、住所、学校名、写真などは絶対に入力しないよう徹底して指導する必要があります。

また、特定のキャラクターや既存作品をもとに画像などを生成する場合には、生成物が既存の著作物に類似していないか、利用方法が著作権上問題ないかを確認する必要があります。

さらに、作文やレポートを書く場合において、生成AIの回答をそのまま書き写して提出することは不適切・不正な行為にあたり、自分自身のためにならないことを十分に指摘することも大切です。

学校現場における情報モラル授業の具体例

「学校現場における生成AIの利活用~ガイドラインとその実践例~」[12]やパイロット校では、情報モラルや著作権を児童生徒に考えさせるための具体的な例として、次のような授業を紹介しています。

情報モラル授業具体例
  • 生成AIを利用して教員が作成した記事と実際の記事を比較し、生成AIが出力したものには誤りが含まれていることを実体験として学ぶ。
  • 生成AIで画像を作成し、既存の作品に類似・酷似してしまうリスクについて学ぶ。
  • 自分で作った作文やレポートの素案を生成AIに修正させたり、アドバイスをもらったりし、それを「たたき台」として自分で推敲することで、剽窃の防止や適切な引用ルールについて学ぶ。

また、学校教育における対策にとどまらず、サービスの利用規約に基づく年齢制限の遵守や、家庭内でのルール作りも欠かせません。生成AIサービスには、それぞれ利用できる年齢や、未成年者が利用する際の条件が定められています。子どもが利用する場合には、利用するサービスの最新の利用規約を確認することが重要です。

家庭で話し合う「AIリテラシー」

家庭内では、どのような取り組みができるでしょうか。

たとえば、次のような「AIリテラシー」について考えながら、「生成AIになにをさせるのか」ではなく、「AIの答えをどう評価するのか」を考えてみるのもいいかもしれません。

AIリテラシーについて(案)
  • AIの回答をそのまま信じない
  • 複数の情報源で確認する
  • 情報の発信者を確認する
  • 発信日時を確認する
  • AIの回答に根拠があるかを確認する
  • 自分自身の考えとAIの回答を区別する

さいごに:生成AIの答えを「鵜呑みにしない」ために

生成AIはもっともらしいウソをつきます。

AIが事実とは異なる情報をあたかも正しいことのように出力してしまうこの現象は、専門用語で「ハルシネーション(hallucination)」と呼ばれています。

生成AIとGoogleをはじめとした検索エンジンとの大きな違いは、検索エンジンでは複数のWebページや情報源が提示され、その中から利用者自身が情報を比較・判断できるのに対して、生成AIは複数の情報をもとに、ひとつの回答としてまとめて提示するため、その回答が正しいのか、どの情報を根拠としているのかを利用者が意識して確認する必要があることです。

また、「だれが」「いつ」発信した情報なのか、もとをたどって確かめてみることも大切です。AIは古いデータをもとに回答していることもあるし、信ぴょう性の低い「うわさ」をもとにして回答していることもあるからです。

そして、「本当にこれは正しい情報なのか」と、一度立ち止まって考えてみる必要があります。

koedoでは、今後も学校現場における生成AIの利活用について定点観測を続けていこうと考えています。

【参考】

  1. 初等中等教育段階における生成AIの利活用におけるガイドライン/文部科学省初等中等教育局
  2. 子どもと生成AI」調査 生成AIについてどう思う?/博報堂教育財団こども研究所
  3. 生成AIパイロット校の活用実践に 関する整理と考察 -2年間の変遷を踏まえて/吉澤日花里・井上信介・西本周平・志儀孝典 (株式会社内田洋行 教育総合研究所)
  4. サイバー警察局便り/警察庁
  5. 令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について/警察庁サイバー警察局
  6. サイバー犯罪 中高生にも広がるAIの悪用/読売新聞オンライン
  7. 不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況/国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣
  8. 令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況について/警察庁
  9. 「対話型AI」に感情を共有できる人は64.9% 「親友」「母」に並ぶ”第3の仲間に”/株式会社電通
  10. 母親と弟を殺害した10代少年を起訴 チャットGPTで家族を殺害する架空の物語を作成 米/CNN
  11. 「ChatGPTが自殺の原因に」 4人の遺族がオープンAIを提訴/朝日新聞
  12. 学校現場における生成AIの利活用〜ガイドラインとその実践例~/文部科学省