【小学生へのスマホの普及】スマホを持たせることのメリットとデメリット。学習利用率、SNSに起因する被害児童数は?
近年、小学生へもスマートフォンの普及が広がっています。
内閣府の令和4年3月の調査によると、子ども専用のスマートフォンを使っている割合は、10歳で48%、11歳で61.8%となっていて、10歳から11歳にかけて子ども専用と親と共用の割合が逆転していることがわかります。
では、実際に小学生にスマートフォンを持たせることにした場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
小学生にスマートフォンを持たせるメリット
小学生にスマホを持たせるメリットには、次のようなものが挙げられます。
- 子どもといつでも連絡が取れる、居場所がわかる
- コミュニケーションツールとして役立つ
- ネットリテラシーが身につく
- 学習効果が期待できる
子どもといつでも連絡が取れる、居場所がわかる
いまは、小学生も高学年になると習い事や学習塾からの帰りが遅くなることも珍しくありません。子どもの帰りが遅くなったときでも、LINEなどのSNSを利用すればリアルタイムで連絡が取れます。
また、スマートフォンにはGPS機能が搭載されているため、災害や事故に巻き込まれるなど、万一のことが起きた場合でも子どもの居場所が瞬時にわかることもメリットとして挙げられます。
コミュニケーションツールとして役立つ
共働きが一般的になっている現在、子どもとゆっくりと話す時間がない…というご家庭も珍しくありません。
子どもにスマートフォンを持たせることで、こまめにコミュニケーションがとれます。また、直接顔を合わせて話しにくいことでもLINEなどを使えば話ができるかもしれません。
さらに、スマートフォンは家族との連絡手段としてだけではなく、友だち同士のコミュニケーションツールとしても利用できます。
ネットリテラシーが身につく
ネットリテラシーとは、インターネットの情報を正しく理解したり、適切な判断・運用ができたりする能力のことです。
SNSの普及により、誰でも気軽に情報を発信できるようになりました。しかし、その情報が発信した本人の意図とは違う解釈をされたり、悪用されたりしても、一度発信した情報は完全には削除できません。
スマートフォンを持つことで、情報を発信するときに気を付けること、ネットで情報を検索するときに注意しなければいけないことなど、ネットリテラシーの知識が身に付きます。
学習効果が期待できる
スマートフォンを持たせることで、「スマホ依存」や「SNS依存」になることを心配する保護者は少なくありません。
しかし、スマートフォンには英語や計算が身に付くように工夫された学習用アプリが数多く提供されています。賛否両論ありますが、これらのアプリを使って勉強する習慣が身についたり、楽しく勉強できたりします。
令和3年度に内閣府が行った調査でも、10歳以上の子どもがインターネットによって学習を受けた経験は87.9%となっていて、学年があがるにつれて割合が増加していることがわかります。
小学生にスマートフォンを持たせるデメリット
小学生にスマートフォンを持たせることで生じるデメリットには、次のようなことが考えられます。
- スマホ依存のリスク
- トラブルに巻き込まれる可能性
- 課金などによる高額請求
- 視力の低下・寝不足などによる健康被害
スマホ依存のリスク
子どもにスマートフォンを持たせることで、インターネット依存、スマホ依存のリスクが高まります。
令和3年度に内閣府が行った調査によると、10歳以上の小学生のインターネット利用時間の平均は約3時間27分となっていて、前年度よりも利用時間は約1時間増えていることがわかります。
また、目的ごとの利用時間は「勉強・学習」が56.6%となっている一方で、「保護者・友人等とのコミュニケーション」が59.7%となっています。
トラブルに巻き込まれる可能性
ネット上にはあらゆる情報が詰まっています。そのなかには暴力的なサイトや性的なサイトなど、さまざまな有害なサイトも存在しています。また、SNSを通じて危険な誘惑に負けてしまったり、悪意ある第三者と出会ってしまったりなど、子どもがトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
警察庁が公表した資料によると、令和3年にSNSに起因する被害児童数は1,812人。前年からは減少していますが、ここ数年ほぼ横ばい状態で高い水準で推移しています。
また、URLや画像をクリックしただけで高額な費用を請求されるワンクリック詐欺や、ウィルス感染によって個人情報が抜き取られる可能性があります。さらに、友だちとつながっているLINEでいじめに合ったり、人間関係のトラブルに巻き込まれたりすることもあります。
課金などによる高額請求
「連絡手段」としてスマートフォンを買い与えたはずが、保護者の知らない間に、子どもがスマートフォンでゲームにはまってしまうことがあります。
無料の範囲内でゲームを楽しんでいる間はまだいいのですが、こういったゲームには多くの場合、課金制度が設定されています。
ゲーム内で利用するコインを買ったり、武器を手に入れたり。
1つずつは数十円から数百円単位ですが、積み重なれば何千円、何万円になる可能性があります。
令和4年版消費者白書によると、令和3年に「オンラインゲームに関する相談」は全体で7,276件。そのうち半数以上の4,443件は20歳未満からの相談であることがわかります。
さらに、20歳未満のオンラインゲームに関する契約購入金額の割合は、10万円から50万円がもっとも多く全体の44.6%となっています。
利力の低下・寝不足などによる健康被害
スマートフォンの液晶画面から出ているブルーライトは、目にダメージを与えやすいことから、長時間の使用は視力の低下につながります。
そのほかにも、睡眠の質の低下や精神への悪影響など、ブルーライトにより体内リズムが乱れることでさまざまなトラブルを引き起こされる可能性があります。
さいごに
スマートフォンを小学生に持たせることで、万が一の危険にそなえることができたり、親子間でコミュニケーションの向上につながったりと、さまざまなメリットがあることがわかりました。一方で、保護者の目が行き届かないところで人間関係のトラブルに巻き込まれたり、ゲームに高額課金をしてしまったりなどのリスクが高いこともわかりました。
koedoでは、今後も、子どもがスマートフォンを持つことによるメリット・デメリットの観測を続けていきたいと考えています。
また、SNSによる子どもが受ける被害には、どのようなものがあるのかをさらに詳しく調べていきたいと考えています。
(koedo事業部)
<参考>