【小学生へのスマホの普及】ペアレンタルコントロール、フィルタリングサービスの必要性とは?
内閣府が令和 4 年 11 月 1 日現在、満 10 歳から満 17 歳の青少年を対象に行った「令和4年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果」によると、青少年の98.5%がインターネットを利用していると回答しています。インターネットを利用する機器は、スマートフォンが73.4%、GIGA端末が63.6%、ゲーム機が63.2%と続いています。
また、総務省が行った「我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールの効果的な啓発に関する調査」によると、スマートフォンの利用率は未就学児でも約25%に達し、中学校入学や高校入学などのタイミングで利用率が大幅に増える傾向にあります。
ペアレンタルコントロールとは?
未就学児のスマートフォン利用率が高くなっている一方で、平均40%の保護者がペアレンタルコントロールについて教えてもらったことがないと回答しています。特に未就学児の保護者は約半数が「読んだり教えてもらったりしたことがない」と回答していることが分かりました。
そもそもペアレンタルコントロールとは、どういう意味で、どのような機能があるのでしょうか。
「ペアレンタルコントロール」とは、訳してそのまま「親としての管理」ということ。つまり、子どもが持つスマートフォン等の端末の利用方法を親が管理する機能を言います。
たとえば、利用時間の制限、子どもにとって不適切なサイトや動画の閲覧制限、アプリのダウンロード制限といったことを、子どもの年齢に合わせて保護者の端末から設定できます。
では、どうしてペアレンタルコントロールが必要なのでしょうか…。
子ども専用のスマートフォン等を手渡すとき、多くの保護者は利用時間など、なんらかの約束をするのではないでしょうか。
しかし、いくら口頭で約束しても、子どもがそれを守るかどうかは別の問題です。
親に隠れて…という状況もあるかもしれませんが、知らない間に有害サイトにアクセスしていたり、誘導されるままに高額な買い物をしたりすることがあるかもしれません。
現実的に考えて、それらすべてを実際に保護者が管理することは不可能です。
ペアレンタルコントロールには、有害なサイトへのアクセスをブロックするフィルタリング機能も含まれています。暴力的な表現や残酷的な表現が含まれるコンテンツや映像、アダルトサイト、出会い系サイトなどのほか、クレジットカード情報が盗まれる危険性のあるフィッシングサイトなどから子どもを守ってくれる機能です。
大人でもだまされてしまうことが増えてきているのですから、いつ子どもがだまされてもおかしくありません。ペアレンタルコントロールを利用することで、子どもが有害サイトへアクセスしないように最初からしっかり管理できます。
保護者が「ペアレンタルコントロール」に関心をもったきっかけは?
総務省の調査によると、スマートフォンのペアレンタルコントロールには関心がある人が多いものの、「フィルタリングサービスを使ってスマートフォンの利用する方法」では、約3割が「あまり関心がない」「関心がない」と回答しています。
また、「ペアレンタルコントロールに関心をもった理由について」の質問に対しては、フィルタリングサービスについては「テレビのニュースや新聞で情報を見たことがあるから」がもっとも多く31.1%で、「インターネット上で情報を見たことがあるから」が27.1%と続きます。
家庭内ルールでは、そのほかに「子どもの学習・成績や健康への影響が心配だから(35.8%)」「インターネットにのめり込むなど、子どもに注意してもスマートフォンを止めないことがあるから(28.3%)など、直接子どもの生活に関わる部分で関心を持っていることが分かります。
ペアレンタルコントロールに関心がない理由
では、ペアレンタルコントロールに関心を持たない理由はなんでしょうか。
同調査によると、ペアレンタルコントロールに関心がない理由として「子どもを信頼しているから」がもっとも多く21.2%、次いで「子ども自身が考えて学ぶべきことだと思うからが15.5%となっています
青少年のスマートフォンでのトラブル遭遇状況、遭遇時の対応
トラブル遭遇状況を年齢別に見ると、年齢が高くなるにつれ「経験なし」の割合が減少していることが分かります。これは、年齢が高くなるにつれ、ペアレンタルコントロールを行っていない子どもが増えることに関係があるかもしれません。
実際に遭遇したトラブル状況でもっとも多いのは全年齢を通じて「インターネットの使い過ぎ」で、「過度な課金」「不適切な内容を見てしまった」が続いています。
この調査によると、年齢と遭遇したトラブルに目立った差はなく、年齢が高くなったからと言ってトラブル遭遇率は減少していません。
では、スマートフォンでトラブルに遭遇した場合には、どのような対応が行われているのでしょうか。
総務省の調査によると、トラブル遭遇時の対応として「ルールを厳しくした」が40%、「利用を禁止した」が25.9%、「フィルタリングサービスを利用するようになった」が17.1%となっていて、対応したことで、半分程度の割合でトラブルの解決に成功しています。
なお、トラブル遭遇時の対応を保護者のペアレンタルコントロール関心度別に見ると、「実施あり・関心あり」と回答した保護者の91.1%がなんらかの対応をしている一方で、「実施なし・関心なし」と回答した保護者の34.8%は特に対応していません。
親子のコミュニケーション
総務省は、ペアレンタルコントロールの実施と親子のコミュニケーションについても調査を行っています。
この調査によると、「ペアレンタルコントロールについて実施あり・関心あり(平均70.1%)」の保護者の方が、「実施なし・関心なし(平均36.2%)」の保護者よりも子どもとしっかりコミュニケーションをとっていることが分かります。
また、トラブルに巻き込まれたときに「親に相談しないことがあると思う」人の割合が、「実施なし・関心なし」では33.2%と低いことが分かりました。
さいごに
スマートフォンを所有する年齢が、ますます低年齢化してきました。
子どもを信用することは大切ですが、インターネットの世界は大人でもだまされやすく、子どもが意図せずトラブルに巻き込まれる可能性を否定できません。
インターネットの世界から子どもを守る機能がペアレンタルコントロールです。
総務省の調査では、ペアレンタルコントロールの「実施あり・関心あり」と「実施なし・関心なし」の保護者でトラブル遭遇時の状況がはっきりと違うことが分かりました。
子どもを守るはずの行為が行き過ぎて「監視」となってしまうと子どもが息苦しく感じてしまう恐れがあります。過度になりすぎないよう、それでもきちんと見守る姿勢が大切だと感じました。
koedoでは、今後もペアレンタルコントロールの実施率についての定点観測を続けていきたいと考えています。
(koedo事業部)
【参考】