【小学生へのスマホの普及】SNSに年齢制限…? 知っておきたいSNSトラブル事例

スマートフォンが普及するなか、SNSなどによるトラブルが増え始めています。

ささいな行き違いからSNSいじめに発展したり、犯罪に巻き込まれたりすることも珍しくありません。

警察庁によると、令和3年にSNSをきっかけとする18歳未満の子どもの被害は1,812人。被害者の9割以上が中学生・高校生ですが、被害に遭った小学生も増えてきています。

SNSをきっかけとする18歳未満の子どもの被害数
(SNSをきっかけとする18歳未満の子どもの被害数/警察庁の資料を基に作成)

なお、ここでいう「SNSをきっかけとした事件」とは、SNSを通じて面識のない人と子どもが知り合い、交際や知人関係などに発展する前に被害にあった事件のことを指しています。

SNSの年齢制限とは…

多くのSNSは13歳未満の子どもの利用を禁止しています。
つまり、小学生はSNSを利用できないはずです。

SNS名利用を禁じている年齢
LIENなし(18歳未満は利用できない機能あり)
Facebook13歳未満
Instagram13歳未満
Twitter13歳未満
YouTube13歳未満(親・保護者の許可があれば可)
TikTok13歳未満
SNS別利用禁止年齢一覧

しかし、東京都が令和4年に都内在住のスマートフォン等を子どもに持たせている保護者2,000名を対象に行った「家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査」によると、約4割の保護者がSNSに年齢制限があることを「知らなかった」と回答しています。

SNS利用にかかわる年齢制限の認知/東京都
(SNS利用にかかわる年齢制限の認知/東京都)

フィルタリングの利用状況について

SNSをきっかけとする事件に巻き込まれた子どもはフィルタリングを利用していたのでしょうか。

警察庁によると、被害児童のうちフィルタリングを利用しているのは全体の約12%にしか過ぎず、残りの約88%はフィルタリングを利用していません。

フィルタリング利用状況
(SNSに起因する事犯の被害児童のフィルタリング利用状況の推移/※警察庁の資料を基に作成)

なお、内閣府が実施している「青少年インターネット利用環境実態調査」によると、満10歳から17歳までの子どもを持つ保護者のうち「フィルタリングを利用している」と回答した保護者は、平成24年度には63.5%でしたが平成30年度には36.8%まで下がり、その後少しずつ上昇して令和2年度には40.6%となっています。

フィルタリング認知率および利用率の推移

SNSをきっかけとした事件の被害者数は…?

令和3年に起きたSNSをきっかけとする18歳未満の子どもが被害者となった事件は合計1812件。そのうち青少年保護育成条例違反が665件、児童ポルノが657件となっています。

罪種別被害児童の推移

なお、警察庁によると、令和3年に起きた児童ポルノ事件の被害児童数は1,458人。つまり児童ポルノの被害にあった子どものうち約45%はSNSがきっかけで被害にあっていることがわかります。

SNSをきっかけとした事件で、最初に投稿しているのは…?

警察庁によると、令和3年に起きたSNSが原因の事件は、被害を受けた児童の7割以上が自分から最初の投稿をしています。

事件に発展したSNSの投稿内容は、「プロフィールのみ」や「趣味・嗜好」、「日常生活」「友達募集」で約半数を占めています。

つまり、「援助交際」や「出会い目的」でSNSを利用しているわけではなく、なにげないやりとりをしているだけの児童も事件に巻き込まれていることがわかります。

最初に投稿した者と投稿内容の内訳

知っておきたいSNSトラブル事例

SNSによって巻き込まれる可能性があるのは児童ポルノなどの性犯罪だけではありません。

文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸問題に関する調査」によると、「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷やイヤなことをされる」件数は、高等学校では令和元年に約3,500件だったのが、令和2年・令和3年と約2,500件と減少しています。

その一方で、小学校・中学校においては年々増加していることがわかります。

特に小学校では平成29年には3,455件だったのが、令和3年には9,454件となっていて、5年間で3倍近くも増えています。

児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸問題に関する調査
(児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸問題に関する調査/文部科学省の資料を基に作成)

そのほかに、SNSが原因で起きるトラブルには次のようなものがあります。

炎上

SNSでの発言に対し、不特定多数のユーザーから批判やひぼう・中傷が殺到する状態のことを「炎上」といいます。

スマートフォンは撮影から投稿まで気軽にできてしまうため、ちょっとふざけたつもりが大ごとになることも珍しくありません。

個人情報流出

気軽に投稿した写真によって個人情報が流出してしまうことがあります。
たとえば顔を隠したつもりでも制服や指定カバンで通っている幼稚園や学校が判明してしまったり、一緒に写っている景色で住んでいる地域がわかってしまったりすることがあります。

乗っ取り

SNSのアカウントが乗っ取られてしまい、詐欺に利用されたり、スパムの発信源になってしまったりすることがあります。

ストーカー被害

たとえば「〇〇駅に着いた」と具体的な内容を発信してしまうなど、SNSで発信した内容によって居場所がわかったり、住まいが特定されたりしてストーカー被害に遭うことがあります。

いじめ

グループ内でのやり取りは、言葉の使いかたひとつでトラブルに発展してしまうことがあります。たとえば休日に友だちと遊びの約束をした際に、「なんで来るの?」と交通手段を聞いたつもりが、とらえ方によっては文句を言ったように見えます。

こうしたグループトークを起因とするSNSいじめが増加傾向にあります。

自画撮り写真の悪用

たとえばSNS上で意気投合した人に秘密を拡散されたくなければ「裸の写真を送れ」など脅迫されることがあります。

警察庁によると、こうした児童が自ら撮影した画像によって被害に遭った児童の数はここ数年ほぼ横ばい状態で、令和3年では、514人の子どもが被害に遭っています。そのうちの中学生が241人、小学生は46人です。

自ら撮影した写真に伴う被害に遭った児童数の推移
(自ら撮影した画像に伴う被害に遭った児童の推移/警察庁の資料を基に作成)

さいごに

スマートフォンを持つことで気軽にSNSを楽しめます。
しかしSNSには使い方によっては、大人でも事件に巻き込まれることが少なくありません。

警察庁の発表によると、令和3年にSNSをきっかけとする事件に巻き込まれた児童の数は1,812人。しかし、こういった被害を受けた児童のうち、フィルタリングを利用していたのは約12%に過ぎないことがわかりました。

koedoでは、今後も、SNSをきっかけとする被害児童数の推移を観測していきたいと考えています。また、SNSによる被害を防ぐためには、どのような対策が必要なのかを調べていきたいと思います。

(koedo事業部)

【参考】