【小学生へのスマホの普及】トラブルを防ぐために保護者ができること、利用できる機能は…?

内閣府が令和4年11月3日~12月12日にかけて行った「令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」によると、10歳以上の小学生の64%が子ども専用のスマートフォンを利用。また、91%の中学生が子ども専用のスマートフォンを利用していることがわかりました。

青少年の機器の占有率
⻘少年の機器の専⽤/令和4年度 ⻘少年のインターネット利⽤環境実態調
(2023年3月28日閲覧)

子どものスマートフォン・携帯の所有率が増えるのに伴い、18歳未満のSNSを起因とする被害も増加しています。

警察庁の調査によると、令和3年に発生したSNSを起因とする18歳未満の被害者のうち51%が高校生、39%が中学生、4%が小学生です。

SNSをきっかけとする18歳未満の子どもの被害数
(SNSをきっかけとする18歳未満の子どもの被害数/警察庁の資料を基に作成)

高校生の被害が多いのは、Twitterを出会い目的として利用しているなど、子どもの方から大人にアクセスをしている層が一定数いることが原因ではないかと考えられます。

また警察庁の調査では、令和3年度、SNSのうちもっとも被害に結び付きやすかったのはTwitterで、全体の約4割にあたる668件。次がInstagramが全体の約2割にあたる350件です。

SNSを起因とするトラブル 被害児童数が多いサイト
少年非行および子供の性被害/警察庁(2023年3月28日閲覧)

SNSを起因とするトラブルに対する警察の対応は?

警察は18歳未満の子どもがSNSを起因とするトラブルに巻き込まれる事件の増加に伴い、さまざまな対応を行っています。

たとえばもっとも被害が多いTwitterに対しては、「Twitter」「サイバー防犯ボランティア」と協力して対策に取り組んでいます。

Twitterの「児童の性的搾取に関するポリシー」には、

多くのケースにおいて、児童の性的搾取に関するポリシーに違反したアカウントは即時かつ永久に凍結されます。違反者はさらに、今後新規アカウントを作成することも禁じられます。注記: Twitterは、児童の性的搾取を描写または助長するコンテンツ(当該コンテンツへアクセス可能なサードパーティーウェブサイトへのリンクを含む)を発見した場合、予告なくその投稿を削除し、全米行方不明/被搾取児童センター(NCMEC)に通報します。

児童の性的搾取に関するTwitterポリシー | Twitterヘルプ

と記載されています。

このTwitterのポリシーに違反している書き込みに対して、全国の警察が直接返信し、注意喚起をしています。

また、サイバー空間において犯罪被害を防止するための教育活動や広報活動も行っています。

トラブルを防ぐために保護者ができること、利用できる機能は…?

子どもをトラブルから守るために、保護者はどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。

子どもが使っているアプリを把握

少し古いデータですが、2016年にMMD研究所が中学生とその保護者を対象に調査を行っています。その調査によると、「子どもがどんなアプリを使用しているか把握している」と回答した保護者は67.2%。一方で、「どんなアプリを使用しているか親は把握している」と回答した中学生は41.4%に留まっています。

スマートフォン利用状況は急激に変化しているため、現在の割合は異なる可能性があります。しかし、少なくとも2016年の時点では、親の認識と子どもの認識に25%もの差があることが分かります。

子供が利用しているアプリ把握率
スマートフォン利用状況の把握の差/MMD研究所(2023年3月28日閲覧)

子どもがどんなアプリを利用しているのかを把握し、実際に自分でそのアプリを使うことで危険に気が付く可能性もあります。ぜひ、子どもがどんなアプリを使用しているのか聞いてみてください。

ペアレンタルコントロールを活用

「ペアレンタルコントロール」とは、子どもが利用しているスマートフォンやパソコン等の使用状況を保護者が把握したり、管理できたりする機能です。

この機能を利用することで、子どもが無断でゲームやアプリをダウンロードしたり、課金したりする被害を防ぐことができます。

フィルタリングを利用

警察庁によると、SNSを起因とするトラブルに巻き込まれた被害児童のうちフィルタリングを利用しているのは全体の約12%にしか過ぎず、残りの約88%はフィルタリングを利用していません。

フィルタリング利用状況
(SNSに起因する事犯の被害児童のフィルタリング利用状況の推移/※警察庁の資料を基に作成)

フィルタリングとは、不適切なサイトやアプリを利用できないようにブロックできる機能です。

平成20年、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」で、携帯電話事業者は、使用者が青少年である場合には、原則としてフィルタリングサービスを提供する義務が課せられています。

このサービスを利用することで、子どもの年齢や使い方によりレベルを設定でき、利用したいサイト、SNS等を個別に設定できます。

インターネットやSNSの危険性の説明、家庭内ルールを作成

子どもにスマートフォンを持たせるときには、インターネットやSNSの危険性について親子で話し合う機会を設けることも大切です。

また、SNSやインターネットを利用するうえで守るべきマナーやルールを、親子で話し合ってルールを作ってみるのもいいかもしれません。

家庭内ルールの例

  • 学校名や顔写真など個人を特定する情報を書き込まない
  • 困ったことがあったら、必ず保護者に相談する
  • 利用する時間や場所を決める
  • 知らない人とやり取りしない

さいごに

警察庁の調査によると、令和3年、SNSを起因とするトラブルに巻き込まれた18歳未満の子どもは合計約1800人。

子どもが被害に遭う前に、ペアレンタルコントロールやフィルタリングなどを利用することで、トラブルに遭う確率を軽減させることができます。

また、親子でSNSやインターネットの危険性を考える機会を設けることも大切です。

この春、子どもにスマートフォンを持たせることを検討しているのであれば、トラブルに合わないためにできることを、ぜひ、親子で話し合ってみてください。

(koedo事業部)

【参考】