教師・児童生徒が考える「義務教育終了時に身に付けておくべき能力」とは? ー令和5年調査結果

文部科学省は、義務教育や学校に期待している役割、授業や学習スタイル、学校生活などについて、全国の公立小中学校の教師、児童生徒(小学校4年生~中学校3年生)、および国民の意識を知るために「義務教育意識調査」を行っています。

令和5年の調査は、全国の公立小学校60校・中学校58校の教師2,978人、調査対象に在籍する児童生徒4万3308人、モニター会社が有するwebモニター9000サンプルを対象に行われました。

義務教育終了時に身に付けておくべき能力・態度

この調査で「義務教育終了時に身に付けておくべき能力や態度」について、複数回答可能な質問を行ったところ、もっとも多かったのは「基礎的・基本的な知識・技能」で教師・児童生徒・webモニターのいずれにおいても回答者の7割が重要と考えています。

一方、「失敗を恐れずに挑戦する力」は、教師が22.5%、webモニターが27.1%とそれほど重要視していませんでしたが、児童生徒の約6割が身に付けたいと考えていることが分かりました

また、「求められることを正確に行う力」についても教師・webモニターいずれも重要視していませんが、児童生徒の約4割が言われたことを正確に行わなければいけないと考えていました。

義務教育修了時に身に付けておくべき能力・態度、学校生活を通じて身に付けたいこと
義務教育に関する意識に係る調査 概要・集計結果/文部科学省(最終閲覧日:2024.3.7)

学校における子どもたちの学習量・授業の進め方

学校における学習量や授業の進め方・週当たりの授業時間について、教師・児童生徒はどのような考えを持っているのでしょうか。

今回の調査では、教師の約半数が「多すぎる」「やや多い」と考えている一方で、児童生徒およびwebモニターの5割から6割が「ちょうどいい」と考えています。

なお、文部科学省は小中学校の授業を5分短縮し、小学校で現在1コマ45分の授業を40分に、中学校で現在1コマ50分の授業を45分に変更することを視野に入れています。

年間の授業時間数を変えるのではなく授業時間数はそのままに、短縮したことで生まれた約85時間を、STEAM教育を始めたとした探究活動を行うなど、各校の実情に応じ運用することを文部科学省は期待しているようです。

義務教育に関する意識に係る調査
義務教育に関する意識に係る調査 概要・集計結果/文部科学省(最終閲覧日:2024.3.7)

それでは、現在の勉強スタイルについて、児童生徒はどのように考えているのでしょうか。

児童生徒に対して「周りと同じペースで学びたい」と「自分のペースで学びたい」のどちらがより自分が考える勉強スタイルに近いか質問したところ、学年が上がるほど「自分のペースで学びたい」と考えていることが判明。特に中学校2年生・3年生の半数以上が「自分のペースで学びたいと考えていることが分かりました。

義務教育に関する意識に係る調査
義務教育に関する意識に係る調査 概要・集計結果/文部科学省(最終閲覧日:2024.3.7)

学校で身に付けたいもの、希望していること

「学校で身に付けたいと考えていること」と「身に付いると思うこと」を比較すると、身に付けたいと考えていることと、身に付いていると思うことに多少の差があることが分かります。

たとえば、「自ら判断する力」は、学校で見に付けたいと考えている児童生徒が66.4%いる一方で、身に付いていると思うと考えている児童生徒は38.8%と約半数。また、「相手に伝わるように自分の考えを表現する力」は、身に付けたいと考えている児童生徒が57.8%ですが、身に付いていると思うと考えている児童生徒は27.1%にすぎません。

義務教育に関する意識に係る調査
「義務教育に関する意識に係る調査 概要・集計結果」を基に作成

児童生徒は学校で勉強するうえで、どのようなことを希望しているのでしょうか。

「勉強するうえで、こうだったらいいなと思うこと」という質問に当てはまるものすべてを選んでもらったところ、児童生徒の約6割が「わからないところを、わかるまでしっかり教えてほしい」と回答。また、小学校高学年の65.7%、中学生でも51.5%が「みんなで話し合って考えを深めたい」と回答しています。

つまり児童生徒が考えている理想の授業が、実際に学校では行われていないことが推測されます。

義務教育に関する意識に係る調査
義務教育に関する意識に係る調査 概要・集計結果/文部科学省(最終閲覧日:2024.3.7)

さいごに

文部科学省が行っている「義務教育に関する意識に係る調査」によると、年齢が上がるにつれて「自分のペースで勉強したい」と考えている児童生徒が多いことが分かりました。また、勉強するうえで児童生徒が希望していることと、実際に学校で行われていることに差があることも分かりました。

ところで、文部科学省が考えている小学校・中学校で授業時間を5分短縮することが実現されると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

たとえば、授業時間が短縮されることで、集中力がアップする可能性が考えられます。集中力が続く時間は、小学校低学年の子どもは15分くらい、中学生でも30分くらいとも言われています。

もし、全国の小中学校で授業時間数が短縮された場合、1985年の規則明示後、初めてとなります。

koedoでは、今後も義務教育に関する意識について定点観測を進めていきたいと考えています。

(koedo事業部)

【参考】