ノンアルコールビールと IT リテラシー
先日、ノンアルコールビールでも気持ちよく酔うことができる理由について書いてある記事を読みました。
記事を読みながら私が考えたのは、子どもの IT リテラシーの問題です。
ノンアルコールビールと IT リテラシーがどのように関わってくるのか……順を追って話をします。
私はもう 2 年以上お酒を飲んでいません。宴会の席などでは、ノンアルコールビールで雰囲気だけ楽しみます。
雰囲気だけ楽しむつもりで、十分楽しい思いができるとは思っておりました。
しかしそれは私だけではないようで、多くの人がノンアルコールビールで気持ちよく酔ったようになることができる……と、記事を読みながら理解しました。
ノンアルコールビールでも気持ちよくなる理由は、身体が飲酒をした時の心地よい感じを覚えているからだと言います。
これまでのお酒の席で気持ちよく酔ったときの快感を脳や身体が覚えていて、実際にはアルコールが入っていなくても、ビールに似た飲料や宴会の席の雰囲気が引き金になって、身体や脳に「快」のスイッチが入るということが、ノンアルコールビールで気持ちよくなる理由とのこと。
「身体が覚えている」ということが原因で、実際に起こっていなくても感情として想起されてしまうことについては、「不安」や「焦り」のことも考え合わせれば納得のいく話だと思いました。
IT リテラシー(ネット利用のリテラシー)の問題も、ノンアルコールビールで気持ちよく酔うのと同じで、身体が覚えていることが影響するのではないか? ということに思い至りました。
友達と SNS で会話をしていて、「既読スルー」がいじめにつながる。
だから一生懸命に返信する。
あるいは SNS で出会った見知らぬ人と、異常に仲良くなってしまう。
これらも皆、身体が覚えている「快」「不快」に起因するのでしょう。
この「快」「不快」の原点は、授乳期の身体の記憶だと想像しました。泣くとすぐにお母さんが授乳してくれる。笑ったときや、声を出したときに応えてくれる。
それらはみな「すぐに返ってくる反応」を「快」とする認識を育てるのではないでしょうか。
母子の距離感の「快」が、IT ツールを利用した「すぐに返ってくる反応」の「快」につながり、その逆の「不快」につながっていく。
同時に、時間的な距離感と空間的な距離感が曖昧になり、親近感や、疎遠に変わっていく。
大人であれば、実際にそばに居ても忙しくて反応できないなど、反応速度は必ずしも距離と比例しないことも経験していくでしょう。
けれども子どもの場合、反応速度と距離の不一致の経験は、まだまだ少ない。
ITリテラシー教育として、知識の補完と同時に、人間関係や社会経験など、多くの「経験」を積むことの大切さに改めて思い至ります。と同時に、ここまで人間社会を豊かにしてきた「脳」というものとの、付き合い方の難しさにも改めて感じます。
この記事を書いたひと
藤井 九曜
(ふじい くよう)
学習塾等教育現場で利用するシステムやアプリケーションを開発してきた文系出身アウトドア派のシステムエンジニア。
趣味は登山。娘が小学生のうちに100名山を一緒に登って回ろうと計画。7歳の娘が現在22座登頂。しかしコロナ禍でペースダウン中。