リテラシー教育を行う意味、教えるべきことは…? 中高生が実際に経験したトラブル

スマホの普及と同じく、インターネットもここ30年の間に広く一般に普及しました。

内閣府の調査によると、令和3年度の時点で高校生の約99%、中学生でも約80%の子どもがスマホを所有しています。

青少年の端末ごとインターネット利用状況
青少年の機器ごとインターネット利用状況

しかし、インターネットやスマートフォンの普及とともに、SNS上でいわゆる「炎上」が起きたり、インターネットを介した詐欺事件が起きたりと、さまざまなトラブルも増加しています。

中高生が考える「ネット上での危険」、 実際に経験したトラブルは?

警視庁が令和元年6月20日から7月19日までの間、都内の中学2年生以上と高校生、合計4,200人を対象に、「インターネットで危険がありそうな行動について」アンケートを実施しました(有効回答率99.8%)。

その結果、サイバーパトロールを通じて補導された子どものうち、「ネットで知り合った人に、自分の悩みを相談する」ことが「危ない」と感じているのは4人に1人しかいないことが分かりました。

「インターネットで危険がありそうな行動について」アンケート結果
「インターネットで危険がありそうな行動について」アンケート結果

また、「SNS上でのトラブル」という質問に対しては、約半分の高校生が「SNSなどで勝手に写真をアップ」された経験があることが分かりました。 さらにサイバーパトロールを通じて補導された子どもの2人に1人が「SNS上で悪口を書かれた」経験があることが分かります。

「SNS上のトラブル」アンケート結果
「SNS上のトラブル」アンケート結果

インターネット利用に関する家庭内のルールは?

家庭内でインターネットを利用するときに、ルールを決めているご家庭はどれくらいなのでしょうか。

内閣府の調べによると、低年齢層の子どもの保護者のうち81.3%が「ルールを決めている」と回答しており、子どもの年齢が上がるとともに割合は増加傾向にあります。

インターネット利用時の家庭内ルールの有無
インターネット利用時の家庭内ルールの有無

ネットリテラシーとは?

コロナ禍において、政府が主導する「GIGAスクール構想」が前倒しで進められ、全国の児童・生徒に1人1台の端末が配布されています。

小学生どころか、いまや未就学児でも親のタブレットやスマートフォンに触れる機会が増えています。

しかし、インターネットやスマートフォンの普及率に対し、ネットリテラシー教育があまり進んでいないという現実があります。

そもそも「ネットリテラシー」とはどういう意味なのでしょうか。

「リテラシー」とは、本来「読み書きの能力」という意味です。

それが転じて、いまは「〇〇についての知識や能力」という意味合いで使われています。

つまり、ネットリテラシーであれば「インターネット上での情報の取り扱い方を理解・整理し、活用する能力」と捉えることができます。

リテラシー教育を行う意味、教えるべきことは…?

リテラシー教育を行うことで、インターネットやSNSを利用する子どもを危険から遠ざけることができます。

たとえば、個人情報保護に対する意識があれば、ネット上に本名や学校名、場所が特定できる写真などを発信することが危険だということに気がつきます。

ルールに基づかずにサイトに掲載されている情報を気軽にコピペして著作権を侵害するようなこともなくなるでしょう。

また、SNSの情報がすべて「事実」ではないことを教えることも大切です。

2020年、新型コロナウィルス感染症が世界に広まり始めたころ、「中国で生産されているトイレットペーパーの輸入がストップするのでトイレットペーパーが手に入らなくなる」という情報が飛び交いました。

その情報を信じた人や疑心暗鬼ながらも不安を覚えた人がトイレットペーパーを買い占めた結果、トイレットペーパーが品薄になり店頭から消えた時期があったことは記憶にも新しいことだと思います。

このとき、実際には国内にトイレットペーパーの在庫は豊富にありました。

トイレットペーパーを生産している企業のホームページにも「在庫がある」ということがしっかりと掲載されていました。

そして安易な気持ちで「ウソ」をつかないことを教えることも必要です。

たとえば、未成年が「大人」だとウソをついて行った行為は、大きなトラブルにつながる可能性があります。

民法では未成年者が保護者に無断で行った契約は、お小遣い程度であるときは別として、保護者が取り消すことができることとしています。

ただし、子どもが大人だとウソをついていた場合、契約を取り消すことができません。

つまり、ウソをついた場合には、未成年者だからといって保護されていないということです。

おわりに

インターネットやSNSが広まり、便利になったことがたくさんあります。

その一方で、その「便利」な部分に踊らされていることが増えているような気がします。

ネットリテラシー教育を行うことで、なにが危険かなのかを子どもたちに意識してもらうことができれば、それがそのまま子どもたちの身を守ることにつながります。

koedoでは、今後も、リテラシー教育がどのように広まっていくのかを観測していきたいと考えています。

koedo事業部

【参考】