【不登校という選択】不登校になったときの相談先、スクールカウンセラーの配置状況は?
文部科学省が令和4年10月に発表した不登校児童生徒の調査によると、令和3年度に小・中学校に在籍している児童生徒のうち不登校となっているのは244,940人。その要因として約50%が「無気力・不安」と回答しています。
子どもが不登校になったときの相談先は?
子どもが不登校になったとき、家庭内で抱え込んでしまうことも珍しくありません。しかし、ムリに家庭内で解決しようとすると不登校が長引いてしまったり、家族全員が負の感情に巻き込まれてしまったりする可能性があります。
文部科学省の調査によると、子どもが不登校になったときに学校外の施設や機関等で相談・指導等を受けた児童生徒は36.1%、学校内の機関等で相談・指導等を受けた児童生徒は45.3%となっています。
相談先をさらに細かく見てみるとスクールカウンセラーが最も多く、全体の約35%を占めており、次いで病院が14%、教育支援センターが約10%と続きます。
政府の対応―スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置状況
政府は、9年連続で不登校児童生徒が増加したことを重く考え、全国の公立小・中学校に配置するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員しています。
現在、スクールカウンセラーは各公立小・中学校(27,500校)に週1回おおむね4時間程度、スクールソーシャルワーカーは公立中学校区(10,000中学校区)に週1回おおむね3時間程度配置されています。
スクールカウンセラーの配置の拡充に伴い、相談件数は年々増加しています。
文部科学省の調査によると、令和2年度にスクールカウンセラーが受けた相談のうち約25%が不登校に対する相談だったことがわかります。
不登校の支援を行っている場所は?
不登校の支援は、学校の内外に数多く用意されています。
- スクールカウンセラー
- 教育支援センター
- 医療機関
- フリースクール
スクールカウンセラー
不登校の問題について学校内に配置されているスクールカウンセラーに相談できます。
メリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- 学校での本人の様子が把握しやすい
- 登校復帰に向けた具体的な対応・連携がしやすい
- 今後について一緒に考え、保健室登校など柔軟な対応へとつなげやすい
ただ、他人の目が気になってそもそも相談に行きづらいと考える子どもが一定数いることも事実です。また、夜間や週末には相談できないため、保護者がスクールカウンセラーと連絡を取り合うことが難しい可能性もあります。
教育支援センター
教育支援線センターとは、主に小・中学校を長期休んでいる子どものために、教育委員会が学校とは別の場所に用意した公的機関です。
令和3年度、教育委員会は全国に1,634か所の教育支援センターを新たに設置しています。
教育支援センターをはじめとする学校外の機関や施設に相談するメリットとして、次のような要件を満たせば出席扱いになることが挙げられます。なお、判断するのは各学校の校長です。
- 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
- 当該施設に通所または入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること
指導者には、教員免許を所有している方も多く、臨床心理士等の心理に関する専門的な資格や社会福祉士などの福祉に関する専門的な資格を所有している方が在籍しているケースがあります。
医療機関
不登校となる原因の1つとして、うつ病や発達障害などが発端となる場合も珍しくありません。
精神科や心療内科などに相談し「病気」だ診断されることで安心につながり、精神状態が安定する可能性があります。
フリースクール
不登校の支援を行っている民間団体のひとつにフリースクールがあります。
文部科学省は、フリースクールを「不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設」と定義しています。
学校の授業とは関係なく、子どもたち自身の興味関心に合わせてカリキュラムが組まれているフリースクールもあります。
フリースクールに通うことが出席扱いになるかどうかは、各学校の校長が判断します。
さいごに
今回の調査では、不登校になったときに学校内外の機関や施設等に相談していないケースが約36%いるということもわかりました。
相談先としては、スクールカウンセラーがもっとも多く、医療機関や教育支援センターも利用されています。
koedoでは、不登校に悩む児童生徒について引き続き観測していくとともに、不登校になったときの親の対応についても調べていきたいと考えています。
(koedo事業部)
【参考】