「へき地へ届け!」地方の教育格差是正に向けたプロジェクト誕生

2021年1月14日

新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう休校中、私たちは無料で子供たちにライブ授業を届け続けた。教える側も教わる側も、お互い不慣れでもどかしさもあったけれど、このライブ授業から得られるものは多く、今後のオンライン教育を考える良い経験となった。

 そんな中、いま続けているライブ授業をもっと多くの子供たちに届けては?という話になった。聞けばどうも、塾がない地域があるという。あまりに「塾」という存在が近すぎて、当たり前すぎて、塾がない地域があるという現実に驚いた。大手の教室はないにしても、私のような個人塾はどこにでもあると思っていたのだ。恥ずかしながらの都会ボケだ。

 ちょっとした質問に答えてくれる大学生すら、へき地にはいない。みな年頃になれば、家を出て進学をするし、そもそも目ぼしい大学がないからということだった。言われてみればごもっともなことではあるが、考えたこともなかった。

 地方では物理を教えられる人がおらず、物理の授業ができない。そのせいで「国立の工学部進学を断念している地方の子供たちがいる」ともニュースで知った。高校に行っているのに、学校の人員事情で適切な授業が受けられないとは……。そういった子供たちにとって私たちのライブ授業は手助けになる。

 実際に「まあ、そのうち……」と言っていたオンライン授業の準備も進み、生徒一人ひとりにPCが配布された。これにより一気にオンライン化へ向けた準備も整った。誰もが、どこにいても、質の高い教育を受けられるようになったのである。教育環境に関しては、アフターコロナの世界は悲観的ではなく、むしろ明るい未来につながっているとさえ感じてきた。

 そうなってくれば、私たちが何もしないで手をこまねいているわけがない! 志ある塾仲間と共に、へき地に住む子供たちに教育を届けるプロジェクトを立ち上げた。誰もができたら良いよね? そうあるべきだよね?と思っていても行動しなかったこと、できなかったこと。それを私たちが動かしていく。形にしていく。

 いまも動画を見て、勉強することもできるはできる。でもそれができるのは、そもそも勉強ができる一握りの子供だ。テレビをつければ通信講座のCMが氾濫している。大人ですら、一人ではなかなか勉強ができない。だから、あれやこれやといろいろなサービスが乱立しているのだ。子供だってそれは同じ。一人ぼっちで勉強するより、仲間と励まし合ったり、先生に相談したり――。孤独な受験勉強も一人じゃないと思えば、モチベーションは上がるに決まっている。

 担任制を導入し、ホームルームだって搭載しようではないか! そのまま、リアル塾をオンラインに乗っけちゃえ!

 オンライン塾が始まったら、私は、その中でいろいろな地域の友達を作って欲しい。そして、志望校に合格して、一緒に勉強した仲間とリアルでその志望校で会って、さらなる学びを深めて欲しい――。仲間がいれば、地方から出てくるときの不安は半分になり、楽しみは倍増するのではないか。大学で会ったら、一緒にあれもしようこれもしようと、一緒に夢を語って欲しい。考えただけでなんだかワクワクする。

 そんな私のワクワクが実を結んだかどうかはさておき、今回、このプロジェクトにおけるクラウドファンディングではみなさんのご支援をたくさんいただいた。多くの方々からご支援いただき1週間強で目標額を達成することができた。本当にありがたいことである。

 プロジェクトを立ち上げたとき、「そんな無駄なことをして……」という人もいた。「誰の支持も得られない」とも言われた。しかし、蓋を開けてみると多くの人々の賛同を得ることができた。

 子供を思う大人の気持ちはみな同じ。どの子も自分の夢を諦めることなく幸せな人生を歩いて欲しい。その心こそが救世主。オンラインで得たみなさんの善意を、オンラインで子供たちに届けよう。


私たちの立ち上げたクラウドファンディングはこちら
https://readyfor.jp/projects/jyukulive

■この記事を書いたひと
松本 正美(まつもと・まさみ)
「学ぶ力は、夢を叶える力!」松島修楽館代表。中学3年生の時に「将来は塾の先生になる!」と決意し、大学1年生から大手個別指導塾で教務に就く。卒業後、そのまま室長として10年間勤務。その後、新興のインターネット予備校で生徒サポートの仕事に携わった後、2013年に松島修楽館を開業。単なるテストのための勉強だけではなく、「どんな夢でも、正しい努力によって叶えることができる」ということを子どもたちに伝えるため、根本的な「学ぶ力」を育むことを重視した指導を行っている。2人の高校生の母。趣味はサックス、タップダンス。