デジタル教科書の普及率、教師のICT活用指導力は?ー令和4年3月1日現在
文部科学省は、令和4年10月、「令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」として、令和4年3月1日現在のデジタル教科書の整備率や教員のICT活用指導力の状況などに関する確定値を公表しました。
デジタル教科書の普及―指導者用は14ポイント、学習者用は約30ポイント上昇
この調査によると、昨年度と比較して指導者用デジタル教科書の普及率は14ポイント上昇、学習者用デジタル教科書の普及率は29.9ポイント上昇しています。
学習者用デジタル教科書の普及率が最も高いのは和歌山県で53.9%。ほかにも福岡県が約50%普及していることが分かります。
一方、普及率がもっとも低いのは愛知県で20.9%のほか、宮城県、福島県、新潟県、山梨県、静岡県、滋賀県、高知県、佐賀県、宮崎県、沖縄県などが30%に達していません。
つまり、学習者用デジタル教科書の普及率には地域によって格差があり、もっとも高い和歌山県ともっとも低い愛知県では約2.5倍の差があることがわかります。
また、学校種別に学習者用デジタル教科書の普及率を見ると、義務教育学校が56.6%ともっとも高く、中学校が41.5%、小学校が40.1%となっているものの、高等学校では6.1%と1割にも届いていません。
教師のICT活用指導力の状況は…?
デジタル教科書を導入するにあたり、検討事項として教師の指導力の向上が挙がっています。
文部科学省が、令和3年度に授業を担当している教師に対し自己評価を行う形で次の4つについて調査を行ったところ、昨年度と比較してすべての評価が向上していることが分かりました。
A:教材研究・指導の準備・評価・公務などにICTを活用する能力
B:授業にICTを活動して指導する能力
C:児童生徒のICT活用を指導する能力
D:情報活用の基礎となる知識や態度について指導する能力
また、令和3年度中にICT活用指導力の各項目に関する研修を受講した教員の割合は、平均で75.8%。令和2年度の平均受講率が63.8%だったため、こちらも割合が増えていることが分かります。なお、もっとも受講率が高いのは長崎県で96.8%、もっとも低いのは和歌山県で54.5%となっています。
特別な配慮が必要な児童生徒等についてのデジタル教科書の活用法
これまで視知覚に問題のある児童生徒が利用していた拡大教科書は、図表の文字サイズが本文ほど大きくないことから、ルーペ等を併用しなければなら場合もあることが課題となっていました。
しかし、デジタル教科書は知視覚に問題のある児童生徒に対して、次のような活用法があります。
- 本文だけではなく図表も自分に必要な大きさまで文字を拡大する
- 教科書の紙面を音声で読み上げる
- 紙面の背景色や文字色を変更・反転する
また、外国人児童生徒には次のような活用法があります。
- 読めない漢字にルビを振る
さいごに
令和3年、文部科学省は令和6年度(2024年度)から学習者用デジタル教科書を本格導入することを発表しました。
しかし、令和4年3月1日現在、小・中学校に対しては約40%普及しているものの、高等学校に対しては0.6%と1割に達していません。
koedoでは、今後、どのようにデジタル教科書の普及が進み、それに対してどのような問題が挙がっているのかなど、引き続き観測をしていきたいと考えています。
koedo事業部
【参考】