ブレンディッド・ラーニングの可能性を探る

2022年7月29日

4月の桜が舞う頃、小学校では始業式が行われていた。私の自宅は小学校の裏にあるので、ベランダから校庭で遊ぶ子どもたちの姿がよく見える。もちろん声もよく聞こえてくる。

休校や学級閉鎖で友達と外で遊ぶ機会が少なくなっている子どもたちの元気な姿を遠目からでも見ると、心からホッとする。

始業式の日、いつもは体育館から聞こえてくる校歌がこの日は校庭から聞こえてきた。密を避けるために、始業式が校庭で行われていたのだ。

「〇年○組××先生!」という声の後に子どもたちの拍手。そして新担任の「よろしくお願いします!」という明るい声。

どれも、コロナ禍前は当たり前だった事ばかり。しかし、この2年のうちにオンラインでの始業式、終業式は当たり前になっていった。

始業式自体はオンラインでも問題はない。しかし、一堂に集まって、みんなで担任発表を待つドキドキ感は、リアルな全校集会だからこそであり、リアルの醍醐味だと思う。

もちろん、感染症対策は絶対条件なのですべて元通りというわけにはいかないことは分かっている。だからこそ、オンラインとリアルとの掛け合わせ、つまりブレンドが大切なのだ。

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ブレンディッド・ラーニングを学習にとりいれると、大きな成果が見込めることも最近分かってきた。

偶然にも、コロナ禍になる前から私の経営する塾ではブレンディッド・ラーニングで子どもたちは学習をしていた。これは学習効果を狙っていたわけではなく、コスト削減のためだ。

コロナ禍以前は「学習指導は直接指導がすべて」と信じて止まなかった。

しかし、このコロナ禍では完全オンライン指導を余儀なくされ、オンライン学習での学習成果を出すことに必死だった。

現在、私の塾では子どもたちはみんな通塾スタイルで通っている。塾ではeラーニングと直接指導を掛け合わせた指導を行っている。

そこで今回、ブレンディッド・ラーニングについて定義を調べてみた。

ブレンディッド・ラーニングとは、授業の少なくとも一部はオンラインで学び、学習の時間、場所、方法またはペースを生徒自身が管理し、一部は監視された従来の教室で学ぶ教育プログラムである。

(教育開発研究所 ブレンディッド・ラーニングの衝撃より抜粋)

これを車の運転で例えるなら、運転手が生徒、助手席で行き先の提示や運転のアドバイスをするのが先生と言えるだろう。

生徒自らハンドルを握り、目的地まで運転をしていく。

遠回りをしそうになったら、助手席で先生が最短距離を示しナビゲートする。生徒は軌道修正をしながら最短で目的地に到着する。

これを学習に置き換えてみると、先生がそれぞれの能力に応じた内容で作ったリストを、生徒が自分たちのペースで学習をするということだ。

もっと、具体的にいうと、子どもたちは到達度テストを受けて学習すべき課題を確認する。そして、その課題クリアのためにeラーニングを使って学習し、テストを受ける。

合格すれば先へ進み、合格できなければもう一度学習をする。子どもたちは、
小さな小テストを繰り返し、合格していく中で、学力をつけいく。

学力がアップすることは当然である。
しかし、それよりも一番子ども達にとってのいい影響は「自己肯定感が高まること」だと私は思う。

自分に足りない知識を把握し、それを学ぶ。
スモールステップでクリアしていくことで、「自分はできる」と自信を持つようになる。

実際に、集団塾から移ってきた生徒の保護者からは「集団塾の時は、いつも自信なさげに家に帰って来ていたのに、今は自信を持って問題に取り組めています」とメールをいただいた。

そして、すぐにメールに返信をすることができた。
それがなぜかというと、生徒は自分でeラーニングを使って学習を進めているからだ。

eラーニングのおかげで、講師の私は指導以外の時間を持つことができている。
当然、eラーニングだけでは足りない部分や理解ができない部分がある。

そこは個別対応している。受験期であれば、個別で過去問指導もしている。
それができるのも、子どもたちが自分で学びを進めてくれているからだ。

強制では学びは生まれない。自分で何が足りないのか考えながら学習をしてこそ、真の学びと言える。

調べて行けばいくほど、さまざまな組み合わせでブレンドができそうだ。まだまだ、ブレンディッド・ラーニングの可能性は計り知れない。今後もブレンディッド・ラーニングについては調べていきたい。

この記事を書いたひと

松本 正美
(まつもと まさみ)

「学ぶ力は、夢を叶える力!」松島修楽館代表。中学3年生の時に「将来は塾の先生になる!」と決意し、大学1年生から大手個別指導塾で教務に就く。卒業後、そのまま室長として10年間勤務。その後、新興のインターネット予備校で生徒サポートの仕事に携わった後、2013年に松島修楽館を開業。単なるテストのための勉強だけではなく、「どんな夢でも、正しい努力によって叶えることができる」ということを子どもたちに伝えるため、根本的な「学ぶ力」を育むことを重視した指導を行っている。2人の高校生の母。趣味はサックス、タップダンス。