【STEAM教育と特別展「宝石」②】宝石の原石って、どこで、どのようにできるの?

2022年6月2日

STEAM教育と特別展「宝石」の第2弾は、宝石の原石はどこで、どのようにできているのかについて触れていきます。

宝石の原石は地中で形成されます。
たとえば、現在見つかっているダイヤモンドの一番古いものは45億年前、一番新しいものでも1億年ほど前に形成されたものだと言われています。

ただ、最初にダイヤモンドを発見した場所は地中ではありません。
紀元前7世紀~8世紀ごろのインドの河川で発見されました。

そもそも宝石とは…?

STEAM教育と特別展「宝石」①】でも触れていますが、「宝石」とは、鉱物のなかで磨くと輝くものをいいます。

「鉱物」とは、地中で自然にできる物質のことで、現在、世界では5000種類以上の鉱物があるとされています。その鉱物の中で、鉄・金・銀・銅など人の生活に役立っているものを「鉱石」と言います。

現在確認されている宝石はどれくらいあると思いますか?
確認されている宝石は200種類以上と言われています。


そんなにたくさんの種類の宝石があることに驚いたでしょうか。
それとも、5000種類以上もの鉱物があるのに対し、磨けば光る鉱石(宝石)は200種類しかないことに驚いたでしょうか。

もしかしたら「自分で発掘できるかも……」と考えた人もいるかもしれません。

それでは、そもそも宝石(鉱物)は、どこでどのようにしてできるのでしょうか。

宝石の生成場所は?

宝石の生成場所については、特別展「宝石」で詳しく説明されていますが、主に次の4つが挙げられます。

  • 変成岩
  • 火成岩
  • 熱水脈
  • ペグマタイト

〇変成岩

生成場所マントル、地殻
生成理由火山活動
代表的な
採掘場所の例
ヒマラヤ山脈
※6500万年前にインド亜大陸とアジア大陸が衝突してできた山脈。
※宝石が埋まっている場所をある程度推測できる。
代表的な宝石ルビー、翡翠

〇熱水脈

熱水脈とは、100℃を超える高温の水が岩壁の割れ目などを通って上昇した水脈の跡のことです。

生成理由     熱水に溶け込んだ物質が温度と圧力の低下とともに溶けきれなくなり、割れ目などのすき間に鉱物となって沈殿・充填したため。
生成場所熱水
代表的な宝石アメシスト、ロッククリスタル(水晶)

〇ペグマタイト(火成岩の一種)

ペグマタイトは、揮発性(水やガス)成分を伴ったマグマの固まった特殊な火成岩です。

生成理由    揮発性成分が濃集し粘性が低下したり、分離して気泡になったりして元素が移動しやすくなったため。
生成場所マグマの冷却が進んでも最後まで固まらずに残ったマグマの残りカス(500℃から800℃)。
代表的な宝石トパーズ、トルマリン
トルマリン
(特別展「宝石」展示風景) トルマリン 神奈川県立生命の星・地球博物館所蔵
豆知識 地球の構造について

地球を卵にたとえたとき、「殻」にあたる部分を「地殻」といい、「白身」にあたる部分を「マントル」、「黄身」にあたる部分を「核」と言います。地下深く、マントルや地殻の中で

地表から地球の中心までが約6400キロ。
「地殻」の深さは、地球の半径2%にも満たない6キロから60キロほどだと言われています。 地殻の下、2,900キロくらいまでが「マントル」、そこからさらに深い部分が「核」です。

地球の構造 イメージ図
地球の構造 イメージ図

ダイヤモンドはマントルで形成されていますが、それ以外の宝石の多くは地殻で形成されています。

どの岩石から、どんな宝石が採れる?

宝石の多くは岩石の中から発掘されます。
岩石には大きく分けて火成岩、堆積岩、変成岩の3種類あります。

〇火成岩

母岩の説明         火成岩とは、溶けたマグマが何百万年という歳月をかけて、地底でゆっくりと冷えたり、地表に上がる過程で冷えたりして固まった岩石のこと。
宝石ができた時期マグマが冷えて固まるまでの時間。 その時間がゆっくりであればあるほど、結晶が大きくなる。
代表的な宝石ペリドット、ルビー、サファイア、トパーズ、ムーンストーン

〇キンバーライト(火成岩の一種)

母岩の説明マグマが冷えて固まってできた岩石。
宝石ができた時期35億年から9億年前までの地球の活動期
代表的な宝石ダイヤモンド

〇堆積岩

母岩の説明         岩石の風化や浸食、堆積、またはミネラル成分を豊富に含む熱水が蒸発し冷えて固まったときなどに生成される岩石。
宝石が形成される場所堆積岩の空洞やひび割れの亀裂
代表的な宝石アメシスト、ターコイズ、オパール、マラカイト
アメシスト
(特別展「宝石」展示風景) アメシストドーム

〇変成岩

母岩の説明         火成岩や堆積岩としてできた岩石が、地殻変動によって地下深く引きずり込まれ、熱や圧力を受け、再結晶してできた岩石。
宝石が形成される場所地下深部の岩石のなかで、ゆっくりと結晶化。
※岩石のなかで結晶化するため、すき間がないので大きな結晶はめったにできない。
代表敵な宝石ルビー、サファイア、エメラルド
(特別展「宝石」展示風景) ルビー 群馬県立自然史博物館所蔵

宝石を元素で分類すると…?

宝石を元素で分類してみましょう。

宝石名      元素特徴
ダイヤモンドC天然の物質のなかでもっとも硬いため、発見された当初は研磨することができなかったため、ルビーやサファイアよりも価値が低かったとされているほどです。
ルビー
サファイア
AI2O3ルビーとサファイアは見た目の色はまったく違いますが、どちらも酸化アルミニウムの結晶からできているコランダムと呼ばれる鉱物です。

同じ鉱物なのに色が違うのは、それぞれ違う不純物が入っているからです。 酸化アルミニウムそのものは白、結晶となると純粋なものほど無色透明です。 そこに不純物としてクロムが入るとルビー、鉄とチタンが入るとサファイアになります。  

サファイアというと青色を思い浮かべる人も多いと思いますが、「ルビー」以外のコランダムの宝石はすべて「サファイア」などと呼ぶようになりました。  
エメラルドBe3AI2Si6O18エメラルドはケイ素、ベリリウム、アルミニウムなどからできた「ベリル」と呼ばれる鉱物です。

本来、ベリルの結晶は無色透明ですが、ここにバナジウムやクロムが不純物として入ることで、「エメラルドグリーン」と呼ばれるきれいな緑色になります。

宝石ができる要因、人工的に宝石を作る方法は?

宝石はマグマの中という熱気の中で高い圧力がかかることで形成され、ゆるやかな冷却過程において育ちます。

この過程を経ることで原子が規則正しく配列し、結晶へと成長、固体化していきます。

実際、この過程を人工的に再現することで合成ダイヤモンドを作ることができます。

18世紀後半にダイヤモンドが炭素からできていることが発見されて以来、世界中で合成ダイヤモンドの実験が始まりました。

初めて合成ダイヤモンドの生成に成功したのは1879年。
ただ、このときは再現性の高い合成ダイヤモンドを生成できませんでした。

その後、1941年にアメリカが合成ダイヤモンドの研究を始め、1955年に再現性の高い合成ダイヤモンドの生成に成功しています。

合成方法の1つである高温高圧法は、天然ダイヤモンドが生成される条件である「地中深く高い圧力」「マグマなどの高温」など地球内部の環境を模した装置により、炭素をダイヤモンドの結晶へと成長させます。

まとめ

今回は、「宝石ってどこで、どのようにできるのだろう」という観点から掘り下げてみました。

STEAM教育概念図
STEAM教育概念図

Artにあたるのは、「宝石はどうやってできているの?」という疑問の部分。

それから、鉱物が世界で5000種類以上も確認されていること、その鉱物のうち磨くと輝くものが約200種類あることもArtにあたるかもしれません。

Mathematicsにあたるのは、前回の【STEAM教育と特別展宝石 ①】で触れたとおり、宝石・鉱物・鉱石など言葉の意味を確かめた部分でしょう。

では、Scienceはどうでしょうか。

詳しくは特別展「宝石」で説明されていますが、生成の過程を理解することで、技術的に再現が可能であることが分かったこと、そして地学的な観点から宝石の原石が存在しそうな場所の想像が可能なことでしょうか。

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」は2022年6月19日(日)まで、東京・上野の国立科学博物館で開催されています。

特別展では、宝石の原石の採掘場所が世界地図上で確認できます
日時指定予約制となっていますが、お時間にご都合がつくのであれば、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ

展覧会名:特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
会場:国立科学博物館 地球館地下1階 特別展示室
会期:2022年2月19日(土)~6月19日(日) ※日時指定予約制
URL:https://hoseki-ten.jp

【参考】

koedo事業部