【親になるということ】選択する力を育てる

私が所属する団体で、若者向けのシンポジウムを行ったときの話です。

その時期、市議会議員選挙が近く、若い人たちの投票率がなぜ上がらないのか、なぜ彼らが選挙に行かないのか……ということについて、現役の大学生を招いてパネルディスカッションで話し合いました。

私はたとえば、「どうせ自分たちが投票しても世の中は何も変わらない」というあきらめや、「興味がない」という無関心が原因なのかなと思っていたので、そういう答えが出てくるのだろうと思っていました。

ところが予想に反して出てきた答えは、「今までの生活の中で、選択肢の中から人を選んだことがない。たとえば学級委員を選んだり、生徒会長を選んだりするときでも一人しか候補者がいないので、信任投票にしかならない。その人について良いか悪いかの判断はできるが、複数の人の中から誰か一人を選んだときに「間違った」選択をしてはいけないと思う。間違っても責任が取れないので、投票に行かない」というものだったのです。選択に自信がないから、投票に行かない! これはかなりの衝撃でした。

あらためて考えると、確かに最近の子ども達は「複数の中から何かを選ぶ」ということをあまりしないのかもしれません。

今日は何をして遊ぼうか、お昼ご飯は何を食べようか、自分は将来何になりたいのか、そのためにはどんなことを勉強したいのか等、私たちの人生は選択の連続です。

しかし子ども達が学校で選択をする場面といえば、彫刻刀や書道のセットのバックの柄を選ぶといった、選んだことにあまり影響がないものが多いのです。

もちろん、お気に入りの道具で授業を受けることはとても楽しいことですが、そうではなく、「いま選択したことが、自分や他人に影響する」というような選択は、大人になったからといって急にできるものではないのです。

選択する力は、経験で学んでいくものだと思います。

大人がなんでも決めるのではなく、自分で決めて失敗し、少しずつ賢い選択ができるようになっていくことが、その後の人生においてとても大事ですね。

そのためには、日ごろから「選択する」チャンスをご家庭で意識して作る、ということが大事だと思います。

最初から難しいことを選ばせるのではないのです。

たとえばケーキ屋さんで好きなケーキを選ぶ、本屋さんに行って読みたい本を選ぶなど、毎日の生活の中で子どもたちに「複数の中から選ぶ」という経験を与えてください。その時に大切なのが、「何でそれが良いの?」と聞くことです。どんな理由でも良いのですが、自分で考えて、自分の意見を言うことが大切です。

大人はそれを支持するのですが、もしその選択が子どもにとって思っていたのと違った(たとえば見た目で選んだケーキは好きな味じゃなかった、絵が好きなので選んだ本だったけど文字が多くて読みたくなくなった等)ものであったとしても、自分の分と取り換えてあげたり、読まなくていいよと言ったりしないで、最後まで責任をもって食べさせて(読ませて)下さい。(腐っているとか、そういうのは別ですよ?)

自分で選んだことには失敗もある。でも、そこから逃げない…という習慣をつけるのです。そして、「今回は良くなかったけれど次はがんばろう」と思えるような会話をしてください。

「よく考えないからダメなのよ」や「お母さん(お父さん)の言うとおりにしないから」などの言葉かけは厳禁です。

「今度は間違えないぞ」と、選ぶことに一生懸命になってもらいたいからです。安全な選択(今回の場合は、ケーキを自分で選ぶことではなく、親の言うことを聞くなど)が一番良い、誰かの言うことを聞いていようということも選択です。

しかし、それは賢い選択と言えるでしょうか?

自分の意見を持ち、失敗を恐れない気持ちを持つことが、選択する力には必要です。大人は子どもが意見を持ち挑戦できるチャンスをたくさん与えて、彼らが選ぶ、彼らの人生に幸せが訪れることを応援する、そんな姿勢が必要だと思います。

この記事を書いたひと

ライター:吉田理子様

吉田 理子
(よしだ りこ)

1971年生まれ。Windows95発売当時に社会人となり、以降パソコン教室講師やITサポート等の仕事に従事。2005年に企業・学校向けのIT、情報教育を目的とした企業組合i-casket設立。2018年には一般社団法人s-netサポーターズを設立し、主に小中学校にて子供・保護者・教員向けの情報リテラシー、プログラミング的思考に関する講座を行う。そのほか地域ボランティアや主権者教育の活動をボランティ