【親になるということ】娘に言われたひとこと

9月末に、私の娘は18歳になります。上の息子のときは「もう18歳かぁ。あと2年で成人だな、早いなあ」などと感慨にふけっていましたが、今回は法律が変わってしまったので、そんなセンチメンタルな感情は飛んで行ってしまい、「え?もう成人??」「え?どうしよう」と焦るばかりです。

この原稿が掲載されるころには本当に成人になっているわけですが、まったく想像がつきません。そんな娘と今年の夏に話していたときに言われたお話をしましょう。

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娘と二人で買い物に出かけた帰り、少し長めのドライブをしていました。話題はやはり「18歳、成人」。成人になるってどんな気分? と聞いたのですが、「全然実感がないよ、成人式はまだ先だし、受験のほうが優先だし」との返事です。

そういえば、選挙権はとうに18歳からになっているし、成人式はまだない。お酒が飲めるわけでもないので、急に明日から成人ですよ……と言われてもピンとこないのは当然かもしれません。

それでも、ここまでちゃんと育ってくれたということは嬉しいと思うし、もう大人なんだなと思うと寂しい気もしました。

しかし問題はそのあとでした。娘が、「お母さんてさ、私のこと放任だったよね。でも、その分、お兄さんより私に甘いよね」と言うのです。

??? これだけ聞いていたら私が娘に対しては甘やかして、好き放題やらせていたというように聞こえてしまいます。え、私あなたのことをそんなに放置してた? と聞いたら、笑いながらそうではない……と言いました。

つまり彼女が言うには、お兄さんの方が育てるのが難しかったように思う。だから、手をかけていたし、神経も使っていた。初めての子だというのもあるだろう。でも自分は、自分で言うのもなんだけれどもそれほど細かい性格ではないし、たぶん育てやすかった。だからお母さんは私にはあんまり口うるさく言わなかったし、趣味が合う(ディズニーやアニメなど)から一緒に出掛けることが多くて、いろいろさせてもらったってことだよ……と。

ホッとした反面、やはりちょっとひっかかりました。これって子育てとして正しかったんだろうか……と不安になったのです。

上の子と下の子と、区別して育てた意識はありません。しかし、男女の違いというのもあるし、その子の性格によって同じことでも伝え方が違うというのはあります。

娘とは趣味の遊びを一緒にしますが、息子とはボランティアなど、地域活動を一緒にします。どちらが良いとか悪いとか、大きくなっても何か一緒にできることはないかなと考えていた結果がこうなっているのです。でもやはり、「違う」と子ども達は感じるのだな、と思いました。

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この話からは少しそれますが、「子どもの意思を尊重する」ことを考えてみましょう。

私たちはいつでも、子どもにとって良いものを、子どもが楽しく思うことをと考えながら子育てをしていますが、そこで大事なのは「そのこと(もの)を子どもはどう考えているかを理解する」ということです。

人間として成長していくためには子どもがやりたくないと思っていてもやらせなければならないこともあります。

たとえば、病気になれば苦くても薬は飲まなければいけませんし、食事のマナーなど生活習慣に関してはたとえ嫌がっても教えなければなりません。

それは、「子どもにとって必要」だからです。
しかし、この考えでいうと、親が思う「必要なこと」はすべて子どもが受けなければならなくなり、子どもの意思を尊重することになりません。

反対に、子どもの嫌がることは何もせず、子どもがやりたいようにすることを何でも許す……ということでもありません。しつけと虐待、尊重と甘やかしの違いはとても難しいものなのです。

両者の間に何の違いがあるかというと、それは「お互いへのエンパシーとリスペクト」の有無だと思います。

エンパシーとは、「その人の立場になったことを想像して、どのように感じているか、どのような経験をしているかを分かち合う能力」のことで、共感力とも言われます。

リスペクトはご存じの通り尊敬、敬意を表し、価値を認めることです。
子どもに対して「一人の人間」として接し、常に意見を求める子育てをすると、意見を求められるたびに「自分は何を考えているんだろう?」と自分に向き合うようになります。

そうすると普段から自分がどんな人であるかを理解するようになるので、人と違う意見を主張することを怖がらないようになります。これが、「子どもの意見を尊重する」ことです。

誰が上とか下とか、そういう立場上のことではなく、それぞれの人生について「あなたはどう思う?」「私(ママやパパ)はこう思う」と意見を出し合うことを繰り返すことで、自然と他人に対する理解もできるようになるのではないでしょうか。

子育てに正解はありません。
私のようにもうだいぶ大きくなって、子ども本人からドキッとするような発言をもらったとしても、「そういうことが言える関係性」をつくれたんだなということで納得しなければいけないなあ……と思う毎日です。

この記事を書いたひと

ライター:吉田理子様

吉田 理子
(よしだ りこ)

1971年生まれ。Windows95発売当時に社会人となり、以降パソコン教室講師やITサポート等の仕事に従事。2005年に企業・学校向けのIT、情報教育を目的とした企業組合i-casket設立。2018年には一般社団法人s-netサポーターズを設立し、主に小中学校にて子供・保護者・教員向けの情報リテラシー、プログラミング的思考に関する講座を行う。そのほか地域ボランティアや主権者教育の活動をボランティアで。趣味は料理と読書。