【古代メキシコ×STEAM教育】メソアメリカ文明のはじまり

2024年2月7日

「古代メキシコ」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
巨大なピラミッドや巨大な壁画、黄金製品を想像される方が多いかもしれません。

ひと昔前は、世界史の教科書で世界四大文明と習いました。

  1. エジプト
  2. メソポタミア
  3. インダス
  4. 黄河(中国)

現在はそれに2つが加わり、世界六大文明となっています。

  1. メソアメリカ(中央アメリカ)
  2. アンデス

それ以外にも、世界各地でさまざまな文明が興っていたことが知られています。それぞれの土地に花咲いた文化をひも解くと、それらが生まれた要因やほかの地域との関連性が見えてきます。

弊社では「STEAM教育」を、ひとつの疑問を突き詰めて考える際、さまざまな技術や知識を用い、仮説を立てたり、解決に導いたりする手段としても捉えています。

今回の連載では、日本で唯一の古代中南米の貴重な遺産を収蔵・展示するBIZEN中南米美術館(岡山県日生町)と東京国立博物館で開催される特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、ティオティワカン」の展示物から、その時代の「なぜ?」を探っていきます。

なぜ中南米に文明が興ったの?

中南米に文明が興ったのは、そこに文明を起こす人が存在したからです。
一見当たり前のことのように思えますが、人類の発祥がアフリカと言われている現在、最初から中南米に人がいたわけではないと考えられています。

今回は、メソアメリカに文明を築いた人たちがどこからやってきたのか、ひも解いて行きましょう。

ハサン・チャン・カウィール1世の記念碑
ハサン・チャン・カウィール1世の記念碑(レプリカ)/BIZEN中南米美術館

氷河期の最盛期、ヴュルム氷期(約7万年~1万年前)には、海面が現在より約150m程度下がっていたと考えられています。それは、蒸発した海水が北極・南極につながるように凍り、氷床ができたからです。そのため、ベーリング海のあるほとんどのエリアが陸地でした。凍土に覆われており暮らしやすいとは言えなかった環境でしたが、この時代ヒトは狩猟採取をしていたため、マンモスなどの獲物を追って、このベーリンジア(ベーリング陸橋)を移動したと考えられています。

マンモスイメージ

こうして、シベリア側からヒトや動物がアメリカ大陸に到達したと言われています。4~1.2万年前頃には、パレオ・インディアンがユーコン地方に達したと考えられています。

しかし、ベーリンジアを渡ったヒトは、すぐにその先には行けなかったという説がありました。現在の北米大陸の北半分を覆うように大きな山脈のような氷床がそびえていたからです。
その後、1万4千万年前に世界が温暖化。大きな氷床の間に氷のない道(無氷回廊)ができたという説です。

これがこれまでの定説でしたが、現在はその可能性は低いという結論を示した論文が出ました。
なぜなら、この回廊が開いたのは約1.5万年前。植物と動物が定着していませんでした。また、それから数千年後までは、気候が厳しく人類が移動できる環境でなかったのではないかと言われています。

実際、南米における人間の居住に関する最古の考古学的証拠は、チリ南部のモンテ・ベルデで発見されています。その起源は紀元前 16,500 年にまで遡る可能性があります。
これは無氷回廊ができる4千年以上も前になり、証拠と考えられている遺跡が北米ではなく、南米にあります。

そのため、現在は2つのルートでヒトが南米大陸に入ったと考えられています。

①ベーリンジア(ベーリング陸橋)から無氷回廊を渡った
②舟

特にベーリンジアが海上に広がっていた時期は、いかだや簡単な舟を作れる技術があれば、ヒトは沿岸を確認しながら移住することができました。
他の地域では、6万5千年前に古代人が海を渡って移住していますし、オーストラリアに移住した最初の人類はティモールの海峡を舟で渡っています。南米に渡ったとしても、何もおかしくはありません。

人類が3万3千年前から南米に住んでいる可能性があった、ということになります。

いかだ(イメージ)
いかだのイメージ

こうして人類が移り住んだ後、定住し、文明が生まれました。

今回の記事では、古代メキシコに文明が生まれた経緯を紹介しました。
ヒトがアメリカ大陸に渡るのには2つのルートがあったこと、そしてさまざまな説があり、新たな発見によってその説が覆されたことが分かりました。調べていく中で、定説を覆すことの大変さを知りました。しかし、技術が進歩していく現在、今後もこれまでの定説を覆すような発見があるかもしれませんね。

これからの連載では、ふたつの展覧会で展示されている内容をさまざまな視点から見ていきます。

BIZEN中南米美術館

  • 展覧会名:「冒険!マヤ文明」展 エピソード2
  • 期間:2023年3月28日~10月9日(月・休) 終了しました
  • URL:https://www.latinamerica.jp
中南米美術館
BIZEN中南米美術館 館内の様子
特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、ティオティワカン」

  • 展示会場・期間
    • 東京国立博物館 平成館  2023年6月16日(金)~9月3日(日) 終了しました
    • 九州国立博物館(福岡会場)2023年10月3日(火)~12月10日(日) 終了しました 
    • 国立国際美術館(大阪会場)2024年2月6日(火)~5月6日(月・休)
  • URL:https://mexico2023.exhibit.jp
古代メキシコ展
特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、ティオティワカン

(koedo事業部)

【参考】