【不登校という選択】令和4年度 不登校児童生徒数299,048人、小学生は10年前の約5倍に
政府は、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒について、毎年、調査をを行っています。
令和4年10月、文部科学省は令和4年度の不登校児童生徒数を発表。それによると、令和4年度に小・中学校の不登校児童生徒数は299,048人(前年度244,940人)。これは在籍児童生徒数の3.2%(前年度2.6%)にあたります。
![不登校児童生徒数の推移(令和4年度発表)](https://ko-edo.com/wp-content/uploads/2023/11/429eac807dbe4715d957344afdd0d9cb.jpeg)
不登校児童数は10年連続増加していて、小学生は10年前の約5倍、中学生は2倍増加しています。
![不登校児童生徒数(棒グラフ)](https://ko-edo.com/wp-content/uploads/2023/11/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1024x638.png)
不登校の要因
この調査によると、小学生の不登校の原因としてもっとも多いのは「無気力・不安」で50.9%%を占めています。次いで「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が12.6%、「親子の関わり方」が12.1%と続きます。
一方、中学生の不登校の要因としてもっとも多いのは小学生と同じく「無気力・不安」で52.2%、「生活のリズムの流れ、あそび、非行」が10.7%、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が10.6%と続いています。
![不登校の要因(令和4年度)](https://ko-edo.com/wp-content/uploads/2023/11/5e635c99807f64f7e9f391c0a97f902b-1024x642.jpeg)
学校内外で相談・指導等を受けた児童生徒の状況
子どもが不登校を選択したときに、保護者はどこに相談しているのでしょうか。
今回の調査では、学校内外の機関等で相談・指導等を受けた不登校児童生徒は184,831人(61.8%)。約4割の不登校児童生徒は、どこにも相談していないことが分かりました。
![不登校児童生徒が学校内外で相談・指導等を受けた状況(令和4年度)](https://ko-edo.com/wp-content/uploads/2023/11/0477c50628427ae15367719542278d71.jpeg)
(2023.11.20閲覧)
具体的に相談先を見てみると、学校内で相談・指導を受けた児童生徒が131,141人で全体の43.9%、学校外の機関等で相談を受けた児童生徒が103,339人で全体の34.6%となっています。
また、学校外の機関等で受けた児童生徒のうち、「民間団体、民間施設」に相談したのは教育支援センターが25.292人(8.5%)、民間団体・民間施設が12,089人(4%)。もっとも多いのは病院・診断所で39,706人(13.3%)でした。
![学校内外で相談・指導等を受けた児童生徒数の状況(令和4年度)](https://ko-edo.com/wp-content/uploads/2023/11/5bc736fa338d3453c0010c2de522dd93.jpeg)
スクールカウンセラー配置状況
文部科学省は、平成7年度から公立の小中学校にスクールカウンセラーの配置を始め、その職務を「不登校やいじめなどの問題行動の未然防止、早期発見および対応」としています。
配置件数は毎年増え続け、令和4年度に計画されたスクールカウンセラーの配置件数は3万件を超えています。
一方で、不登校児童生徒は平成24年度から増え続けていて、スクールカウンセラーの配置が必ずしも不登校児童生徒の歯止めにはなっていないようにも見えます。
![スクールカウンセラー配置件数と不登校児童生徒数の推移](https://ko-edo.com/wp-content/uploads/2023/11/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-1024x573.png)
しかし、スクールカウンセラーへの相談件数は増加しており、令和3年度に不登校についての相談件数は、全体の24.8%にあたる914,300件となっています。
![スクールカウンセラーへの相談件数および相談内容](https://ko-edo.com/wp-content/uploads/2023/11/3c3bdc7bd15e00346b3a3469b05e3b04.jpeg)
指導要録上「出席扱い」となる割合
文部科学省の調査によると、不登校児童生徒のうち、学校外の機関等で相談・指導等を受け、「指導要録上出席扱い」とした児童生徒は32,623人。また、自宅でICT等を活用した学習が「指導要録上出席扱い」とした児童生徒は10,409人でした。
学校外の機関等で相談・指導等と受けて「出席扱い」となった児童生徒と、自宅でICT等を活用した学習で「出席扱い」となった児童生徒に重複している児童生徒もいる可能性もありますが、不登校児童生徒の3割から4割程度が、学校に行かなくても「出席扱い」となっています。
![指導要領上「出席扱い」とした児童生徒数](https://ko-edo.com/wp-content/uploads/2023/11/6ff0822fe4928d51e05ffb8b271bebcf-1024x495.jpeg)
政府の対応
令和5年3月、文部科学省は「誰一人取り残されない学びの保証に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を取りまとめています。
このプランでは、不登校により学びにアクセスできない子どもをゼロにすることを目指し、次の3つのことを掲げています。
- 不登校の児童生徒すべての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整える
- 心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
- 学校の風土の「見える化」を通じ、学校を「みんなが安心して学べる場所にする」
主な取り組みとしては、次のとおり。
- 不登校特例校や校内教育支援センターの設置を促進
- 教育支援センターの機能を強化するためにNPOやフリースクール等との連携強化やオンラインによる広域支援
- 健康観察にICTを活用して心や体調の変化の早期発見を推進
- 保護者が1人で悩みを抱えないように相談窓口を整備
- スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる保護者の支援
- 子供たちの特性に合った柔軟な学びの実現
- いじめ等の問題行動に対する毅然とした対応の徹底
- 児童生徒が主体的に参画した高速等の見直しの推進
また、各地域の相談支援機関等に関する情報は、文部科学省で一括することで情報提供の強化を行うこととなっています。
さいごに
文部科学省の調査によると、令和4年度の不登校児童生徒数が299,048人と、30万人に達しようとしています。
政府は、不登校児童生徒が増加している原因として、新型コロナウィルス感染症の影響が続き、不安や悩みを相談できない子どもがいる可能性や、子どもたちの悩みが従来と異なる形で表れている可能性があると考えています。
文部科学省はこの事態を踏まえ、不登校の児童生徒すべての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えようと、令和6年度の概算要求を行いました。
koedoでは、今後も不登校に関する対策等の定点観測を続けていこうと考えています。
(koedo事業部)
【参考】