福岡の授業を長崎・平戸へ! 教育からボーダーレスを目指して!
桜が散り、緑がまぶしくなる5月までバタバタと塾生の受け入れや、今年から新しくなる教科書対応にとあっという間の新学期。今年から教科書が変わり、中学生が学ぶ学習内容が難化している。春期講習では多くの子供たちが新学期により良いスタートを切るために頑張って勉強をしてくれた。
その水面下で私たちは、去年1年間続けてきたライブ授業を塾がない地域の子供たちへ届ける準備をしていた。最初の地方ライブ授業は長崎の平戸に住む子供たちに決まった。まだまだ試作段階であるので、懇意にしている平戸の先生の塾に通っている子供たちへ向けての配信だ。
第1回目は2021年5月15日土曜日に行われた。感想を一言で言うと、「緊張した!!」。なぜなら、会ったこともない、見たこともない、話したこともない子供たちを相手に、どれだけ気持ちを伝えられるか不安だったからだ。それに加えて、受験期以来の久しぶりのオンライン授業……。IT関係が壊滅的に苦手な私はとにかく緊張していた。その緊張度合いは、簡単な単語の“those”のスペルをど忘れしてしまったくらいだ。非常に恥ずかしかった。
初回の授業はオマケで、双方にコミュニケーションを取ることが一番の目的である。本来ならば、直接平戸に出向き、出前授業をする予定であったが、福岡は緊急事態宣言の真っ只中ということで、直接指導はできなかった。これから、様々な地方の子供たちを巻き込んでいくことを思うと、つかみの部分もオンラインだったのは私たちにとって良い経験になった。ひとつの方法として、私たち講師を知ってもらうために自己紹介のスライドを作り、まず子供たちに私たちを知ってもらった。
そして、授業。私が担当した英語の授業は、英語と日本語の違いから学んでもらった。具体的には主語、動詞、日本語で言う主語・述語の理解ができているかの確認授業を行った。英語が苦手な子は日本語自体をわかっていないことが多い。まずは短文で主語と述語を見分けることができるのかが最初のチェックポイントとなる。
今回、平戸で受講してくれた生徒もかなり不安は大きかったと思う。まったく知らない見ず知らずの先生で、しかもオンラインで授業をされるとは未知の世界であっただろう。今回はそんな不安からか、みんな自分の通っている塾で一斉受講をしてくれた。和気あいあいと受講し、授業自体も楽しんでくれたようだった。
しかし、これは反面で短所にもなる。わからない問題を当てられたり、自分が考えた答えが不安なときに、周りの友達に確認をしてしまうからだ。これは、ある意味よくない。なぜなら本来は、間違うことを恐れずに答えを出し、発表することで、さらには間違うことで学びが深まるからだ。失敗をして、「あのとき間違えたから、次は間違えない!」という気持ちが記憶のきっかけとなり、次は間違えないという注意喚起のスイッチになる。それを自ら消してしまうのが、友達に聞くという行動。自分で間違えるってこと、これからもっと学んでもらいましょう!
そして、今後この取り組みは横の広がりを見せそうだ。Facebookで紹介をすると一緒に学びたいという塾の先生からもお声をいただいた。私たちのオンライン授業ではどの地域にいても、どの学校を受験するにしても、絶対に必要な基本的なことを丁寧に授業している。学習の「基本のき」をバカにせず丁寧に学習してこそ、真の学ぶ力が育つと信じている。基本さえ押さえてしまえば学校の授業にもついていけるし、基本がわかれば世にあふれている通信教材も理解できる。
いま、勉強ができないと悩んでいる子供たちは勉強の仕方を知らないし、テキストに当たり前のように書かれていることが理解できない。だから、そのままテキストは山積みになり、机の横へ押しやられ、ついには押し入れに入れられる。自分で読んで理解をすることができれば、どんどん自分で勉強をすることができる。この可能性を秘めたライブ授業を、これからどんな子供たちがどんな場所で受けてくれるのか楽しみである。
この記事を書いたひと
松本 正美
(まつもと まさみ)
「学ぶ力は、夢を叶える力!」松島修楽館代表。中学3年生の時に「将来は塾の先生になる!」と決意し、大学1年生から大手個別指導塾で教務に就く。卒業後、そのまま室長として10年間勤務。その後、新興のインターネット予備校で生徒サポートの仕事に携わった後、2013年に松島修楽館を開業。単なるテストのための勉強だけではなく、「どんな夢でも、正しい努力によって叶えることができる」ということを子供たちに伝えるため、根本的な「学ぶ力」を育むことを重視した指導を行っている。2人の高校生の母。趣味はサックス、タップダンス。