IT化の進む教育現場で求められるコミュニケーションとは<Vol.2>

2021年1月14日

 前回は「他人とのコミュニケーション」ついてお話ししましたので、今回は「自分とのコミュニケーション」についてお伝えしたいと思います。

 みなさんには「自分とコミュニケーションを取っている」という感覚はあるでしょうか? 実は、自覚していないだけで、私たちはいつも自分自身と会話をしています。その証拠に、何かしらの出来事があれば、常に自分の内側から声が聞こえてきますよね。例えば、急に雨が降ってきたら「うわぁ、傘持ってないよ。ついてないな」、電車が遅延したら「なんだよ、こっちは急いでいるのに」など。

 特にその出来事が自分にとって嫌なこと、望んでいないことであればなおのこと、「なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないの」「もう頭にきた、やってられない」などのように、その声は怒りを帯びてくることさえあります。

 しかし冷静に考えてみると、現象そのものには良いも悪いもないと思いませんか? ある人にとって嫌な雨も、日照りで苦しんでいた農家の人にとっては恵みの雨かもしれません。ある人にとって都合の悪い電車の遅延も、遅延のおかげでなんとかその電車に滑り込めたという人がいるかもしれません。つまり「雨が降ってきた」「電車が遅延している」という単なる現象を、私たち一人ひとりが気分に任せてあれこれ解釈しているだけなのです。

 以前、こんな話を聞きました。女子生徒がグループチャットでやり取りしていたそうです。Aちゃんは自分で購入したキーホルダーの写真をアップして「いいでしょ!」と投稿しました。そこにBちゃんが「Aちゃんのキーホルダー、よくない」とメッセージしました。するとCちゃんが「ねえ、Bちゃんちょっと酷くない?」と怒り出し、そこからBちゃんの悪口が広がってしまったのだそうです。

 もしみなさんだったら、Bちゃんのメッセージをどう解釈しますか?

 実のところBちゃんは、「いいよね?」「素敵だよね?」という肯定的な気持ちで「よくない」とメッセージを発したつもりだったのです。しかし、最後に「?」マークをつけ忘れてしまいました。たしかに「?」があるとないとでは意味がまったく逆になりますから、Bちゃんにも多少の非はあるでしょう。しかし、現象としてはたったこれだけのことです。

 もし、Cちゃんが否定的な解釈だけでなく、「Bちゃん、『?』をつけ忘れたのかな?」と解釈することができていたら、おそらく悪口にまで発展することはなかったのではないでしょうか。

 こうしたコミュニケーションエラーは、IT化が進むことによって頻繁に起きているようです。

 また、こんな話もあります。ある人が街頭募金に10円寄付しようとしたところ、どうやら間違えて100円玉を入れてしまったのでしょう。一瞬「しまった」という表情をしたのですが、その人がとっさに口にした言葉は、「やったあ、今日は10倍良いことしたぞ」でした。そんな解釈もあるのかと驚いたと同時に、とても素敵な解釈だと感動しました。

 この出来事に対しても、もし「損をした」と解釈をすれば、おそらく嫌な気持ちのまま、その日一日を過ごすことになるでしょう。しかし「良いことをした」と解釈することができれば、とても晴れやかな気持ちで一日を過ごせるのではないでしょうか。

「10円入れるつもりが、間違えて100円入れてしまった」という事実から、道は2つに分かれます。片方は「損をした」という道、もう片方は「良いことをした」という道です。この違いは何でしょう? それは、「解釈の違い」たったそれだけなのです。

 100円の失敗ならばたいしたことではありませんが、人生には大きな分岐点がいくつもあります。「レギュラーに選ばれなかった」「受験に失敗した」「好きな人にフラれた」「大きなケガをした」「希望する会社に就職できなかった」「嫌な部署に回された」「仲間に裏切られた」「会社を解雇された」「会社が倒産した」「大金を失った」。

 もし、そのたびごとに道が2つに分かれているとしたら、あなたはどちらの道に進みたいと思いますか? 

 起きてしまった現象は変えることはできませんが、解釈は変えることができます。そして、どのような解釈をするかは、あなたの自由です。何の規制もありません。あなたが、もう一人のあなたと、どのような会話をするかだけなのです。

 あなたは「もう一人の自分」と、どのようなコミュニケーションを取っていますか?


■この記事を書いたひと
岡根 芳樹(おかね・よしき)
ソーシャル・アライアンス株式会社代表取締役社長。若かりし頃は劇団主宰、現在は絵本作家の顔を持つ、発想力豊かな異色の講師。プレゼンテーションやクロージングといったセールスのスキルやノウハウが、部下の育成、生徒の教育、子育てなどに役立つことに気づき、あらゆる分野でコミュニケーション能力の向上・育成を目指す。心理学を応用した実践型ロールプレイング、成果にこだわった人材教育には定評があり、企業研修において高いリピート率を誇る。またかねてより学校教育、子どもへの教育が重要との考えを持ち、中学校や高校、大学、学習塾などでの講演活動も精力的に行っている。YouTubeチャンネル「おかねちゃんねる」を開設。