コロナ禍における小兵塾だからできたことあれこれ【実践番外編】
この「小兵塾」シリーズは3部作として前回で終わらせたつもりだったのであるが、急遽、番外編を書くことにした。
ついに、私の塾の8割が通っている中学校から新型コロナウイルス感染症の陽性者が出てしまった。いつかは……と覚悟はしていたが、いざ目の当たりにすると動揺してしまった。
とある日の授業中、「親からのラインが来たけど……」と生徒が見せてくれた。学校内で新型コロナウイルス感染症に感染した人がいるとのことだった。すぐに市の教育委員会のホームページをチェックすると、なんと休校措置はなし。該当クラスのみの学級閉鎖ということだった。少し前までは学校を挙げて休校措置であったが、いつの間にか学級閉鎖だけで良いことになっていた。ちょっと不安。受験生を預かる身としてはかなり不安。
わかる範囲でいろいろ聞いてみると、受験生や塾内生と直接関わりがある人ではなさそうではあったが、やはり不安。いま症状がなくとも潜伏期間があるとすれば、もっと増えるのでは?とさらに不安。他の学校の生徒も通塾していると考えると、塾が感染を広げる可能性も出てくる。いろんな可能性を挙げればキリがない。キリはなくとも、防衛はしなければ……。
まず、次週1週間は小学生から中学2年生までは休講。その代わり、冬休みに授業の振り替えをしてもらうことにした。あと1週間もすれば冬休み。冬期講習期間の勉強時間はたっぷり用意している。そちらで安心して勉強をしてもらおう。ただ、受験生はそんな悠長なことは言っていられない。オンライン対応で16時から21時でミッチリ勉強をしてもらう。オンライン決行前日に課題を渡し、オンラインの準備完了!
今日も実際に受験生のオンライン授業をしたが、他学年がいない分、かなり濃厚に個別指導を行うことができている。個別対応には別のルームに入って質問をしてもらうので、他の人を気にしなくて済む分、気も楽そうだ。これはこれで、メリットと思う。普段は質問が乏しい生徒もよく質問をしてくれた。
春の休校中のオンライン授業で要領は得ていたものの、久しぶりのオンライン授業はもどかしさもあり、少し緊張した。ただ、お互いすぐに慣れたのは言うまでもなく。
その日の夕方に情報が入って、その2時間後には次週の対応ができるのは、小回りが利く個人塾の最大の良さである。私の独断で決めることができる。すべては一人。もちろん、孤独もともなう。
実際に「休講にする」と一斉メールを送ってからは、「これで良かったのだろうか……」「神経質になりすぎているのだろうか……」と何度も自問してしまう。「いやいや、これで良いはず」と自分に言い聞かせる。この繰り返し。
新型コロナウイルス感染症に関しては誰に聞いても答えがなく、正解がないとは思っていたけれど、いざ決断するなると不安も大きい。
「学校は学級閉鎖だけで休校しないのに、塾は休みなんて!」と、塾を休講にしたことに対して批判も大きいかも……と思うと、「これで良いのだ!」と胸を張って言えない。それはいまも……。
冬休み目前で、学校でもあまり授業が進まない時期だったことだけが救いかな。
実際に娘からも「ママはコロナに対して神経質過ぎるよ~」と言われた。「いや、でもね!」とこれまた堂々巡り。やっぱり、答えが出ない。
その中でも答えをあえて出すならば、「自分の子供(たち)は自分で守る!」その思いで出した決断ならば、きっとどれも正解になり得る。情報はありとあらゆる角度の内容で溢れている。正直、どれが本当でウソかわからない。それならば、自らが最善と思った道こそが正しいと言えるのではないかと思う。
誰も経験したことのない世界。頼りになるのは自分だけ。頑張れ! 私! 今日もオンライン授業を待っている受験生がいる!
この記事を書いた人
松本 正美
(まつもと まさみ)
「学ぶ力は、夢を叶える力!」松島修楽館代表。中学3年生の時に「将来は塾の先生になる!」と決意し、大学1年生から大手個別指導塾で教務に就く。卒業後、そのまま室長として10年間勤務。その後、新興のインターネット予備校で生徒サポートの仕事に携わった後、2013年に松島修楽館を開業。単なるテストのための勉強だけではなく、「どんな夢でも、正しい努力によって叶えることができる」ということを子どもたちに伝えるため、根本的な「学ぶ力」を育むことを重視した指導を行っている。2人の高校生の母。趣味はサックス、タップダンス。