コロナ禍における小兵塾あれこれ 小回りが利くからできたこと【その2】

2021年1月14日

 4月に入ると連日ニュースでは新型コロナウイルス感染症の感染者が増え、完全休業要請も間近と報道された。もちろん、学校の休校も延長され、新1年生は入学式も延期、学校再開の目途も立たない状態だった。

 塾が対面で授業できなくなるのも時間の問題だ。朝10時から15時までは子供たちの指導をして、夜は完全オンライン授業に向けての準備時間に充てることにした。とはいえ、そう、私はデジタル音痴。何を揃え、何を動かせば良いのやら……。

 すると、捨てる神あれば拾う神あり!「松本先生を救う会(笑)」が発足された。ふだんから情報交換や勉強会をして交流を深めていた若手の先生や、デジタルに強い先生が夜な夜なオンライン授業準備に付き合ってくれた。

 iPadの使い方、Zoomでの画面共有の仕方といった細々したところまで、手取り足取り教えてくれた。とても有難かった。いろいろな塾の先生たちと知恵を出し合い、助け合えるのも個人塾ならではの良さであり、強味だと思う。大手の塾同士だったら、きっと、こういった協力体制は整わないだろう。

 オンライン授業って言われても、どうしたら良いのかわからないのは、きっとお母さんたちも同じ気持ち。どんなに忙しくても絶対に丁寧に教えてあげよう……と一つひとつ手ほどきを受けながら、心に誓った。

 いよいよ、福岡も感染者が増え、休業要請が出された。生徒たちには塾からパソコンを貸し出してeラーニングで学習ができるようにし、暗記や演習用として事前にプリントも配布した。

 中学生ともなれば、彼らはデジタルネイティブ。Zoomは私より使いこなし、勝手に落書きまでしていた。(本当は落書きはダメですよ!)

 大人は「もし回線が切れたらどうしよう」とか「落書きして消えなかったらどうしよう」という恐怖がある。でも、子供たちは怖い物なし。アレやコレやと画面をタップしてみたり、スワイプしてみたり触りまくっている。気が付けば、オモシロ画像を共有したりと上達が早い。「恐れを知らない若者は素晴らしい」と、デジタル音痴な私は彼らを尊敬した。

 授業がオンラインになれば、暑かろうが、寒かろうが、雨が降ろうが、槍が降ろうが、学習可能であり、学校の先取り学習も復習も可能。eラーニングで学習進捗を管理し、Zoomでは子供たちを映し、ダブルで管理した。その結果、理解度も上がり、学習時間も増え、メリット多し。家庭に通信環境さえ整えば、中学生にオンライン授業は問題はなかった。通信環境の整備こそが、今後、中学校でのオンライン授業が可能か否かを決めるカギとなる。受け手の通信環境はかなり大事。

 一方、小学生のオンライン授業は不成立に終わった。アプリをダウンロードしたり、端末を立ち上げたり、何から何まで最初は親の手がかかる。親も親でいろいろ心配なので、授業中は傍にいる。これが一番ネックになった。

 隣りにいるお母さんの顔色を見ながら問題を解き、答えを書いている。こちらも、機材の不具合の際は手助けしてもらわなければならないので、無下にもできない。小学生に関しては学校でオンライン授業が導入された場合、かなり厳しい状態になると思う。

 特に、1年生はつい先日まで幼稚園児だった子供を相手にするのでおそらく不可能。感染者が増えて休校措置となれば、かなりの少人数で登校して、対面の授業を受けるのが一番だと個人的には考える。

 ただ、どの学年層にも言えるのは、モチベーション管理はそのつど必要ということだ。毎回、Zoomに入って来たら、他愛のない話をしてその日の子供たちのコンディションを伺う。少人数だからこそ一人ひとりに向き合えた。ふだん、リアルでコミュニケーションをしっかり取れているからこそ、離れていても意思疎通をすることができた。

 ここに関していえば、やはり対面授業に軍配が上がる。リアルに勝るものなし。人には人が必要なのだ。特に成長過程の子供たちには大人からの愛情が大事。愛は人を育てるのだ!といつも思っている。

■この記事を書いたひと
松本 正美(まつもと・まさみ)
「学ぶ力は、夢を叶える力!」松島修楽館代表。中学3年生の時に「将来は塾の先生になる!」と決意し、大学1年生から大手個別指導塾で教務に就く。卒業後、そのまま室長として10年間勤務。その後、新興のインターネット予備校で生徒サポートの仕事に携わった後、2013年に松島修楽館を開業。単なるテストのための勉強だけではなく、「どんな夢でも、正しい努力によって叶えることができる」ということを子どもたちに伝えるため、根本的な「学ぶ力」を育むことを重視した指導を行っている。2人の高校生の母。趣味はサックス、タップダンス。