YUIMAALUな世界を築こう~クラゲ連合代表・山崎唯さんにインタビュー~
先日、私と娘が『クラゲ連合』主催の「世界一ハードルの低いビーチクリーン」へ参加したことはここでもレポートをした通り。たった一粒のマイクロプラスチックでも良いから、拾ってくれたらOK!という、何とも気軽なSDGs。どんなに世界が叫ぼうとも、説き伏せようとも、行動がともなわなければ世界は変わらない。無理のない社会貢献のきっかけを与えてくれるクラゲ連合の活動について話を聞いてきた。
私が彼女たちの活動を支持する理由の1つとして「誰も悪者にしない」ということが挙げられる。前回のコラムにも書いたが、私はこの考えに強く感銘を受けた。「SDGsについて取り組んでいます」「海の清掃ボアランティアをしています」というと、何だか他の人より、ちょっとスゴいことをしているように見られる。でも「海が好きだから海活をしているのであって、単に楽しいから活動しているのであって、別に社会貢献をしようと思って活動はしていないよ」と、山崎代表はサラリと私に話した。
「買ったお肉もお野菜もすぐ腐らせちゃうし、フードロスの観点からみると私は落第だし」とも。できることをできる人がすれば良いだけ。適材適所で地球について考えることができれば良いだけ。できるときにできることをすれば良い。とてもシンプルな考えだ。彼女たちはこのコロナ禍の活動でも、それがたとえオンラインでも「いかに楽しむか!いかに楽しませるか!」を大切にしている。
前回も紹介したが、オンラインでの大きな活動は「世界とつなぐビーチクリーンリレー」だ。世界にいる同志たちとオンラインでつなぎ、ビーチクリーンのバトンリレーをするという。どんなゴミが発見されるかは、そのときのお楽しみ。
そして、私とのインタビューの間に彼女が思いついたというのが「日没ビーチクリーンリレー」。このイベントの中で、彼女が子供たちに感じて欲しいのは「地球が丸い」ということ。世界の中の日本という視点で見れば、時差はない。しかし夕日が沈むという、ごく当たり前の自然現象の中では、日本でも時差が生まれる。それを感じて欲しい。
ふだん地球が丸いことは誰もが知っている。しかし、それを実感する機会は少ない。「それを美しい夕日を見ながらみんなで楽しみたい」と、インタビュー中ではあったが新たな企画が生まれた。そこに立ち会えて素直に嬉しい。
他にも「海中オンライン中継」を考え中だそうだ。社会科の授業でも学習するが、海の“潮と潮の境”には様々な魚が集まってくる。そして、そこには魚だけではなく、ゴミも集まって来るそうだ。そのゴミを定点カメラで中継する。リアルタイムな潮の流れとゴミの流れ、魚の流れを子供たちに見せ、海のリアルを知って欲しいという。教育はまずは知ることからなのだ。
実際に、幼稚園児や小学生がクラゲ連合主催のマイクロプラスチックを使ったチャーム作りのイベントに参加し、そこで初めてマイクロプラスチックという言葉を知り、興味を持つようになったそうだ。そして子供たちは自分が作ったチャームの自慢をしがてら、友達や大人を相手に学んだことをアウトプットする――いわゆる「リバースエデュケーション」が起きたというのである。
普通、教育というと上から下へ教えるものと考える。しかし、この「リバースエデュケーション」では子供が子供に、子供が大人に自分が学んだことを教えてくれる。ふだんと違う逆向きの教育が自然発生する。そして、大人に説明するときの子供たちの目は決まって輝いている。自己肯定感に溢れているのだ。これこそが生きた学びだ。
他にもクラゲ連合のポイ活アプリとして「YUIMAALU」がリリース予定とのこと。このアプリは「ビーチクリーンをしたい人」と「それを応援したい人や企業」をつなぐというもの。ビーチクリーンには遠くて行けないけれど、何か手伝えることをしたいという人と活動をつなぐ。
例えば、野菜を作るのが得意なら、ビーチクリーンに参加してくれた人への野菜をプレゼント提供する。これでも活動貢献となり、さらにはフードロスも抑えられる。一石二鳥。人から美味しいと言われて感謝もされて、三鳥、四鳥にもなりそうだ。 YUIの結(ゆい)とは元来、小さな集落や自治体単位における共同作業の制度である。一人で行うには多大な費用と期間、そして労力が必要な作業を、みなが総出で助け合い、協力し合う相互扶助の精神で成り立っている。この「YUIMAALU」な心で海と人、人と人をつなぐ『クラゲ連合』。これからも私のできるところから、できることで応援したい。
この記事を書いたひと
松本 正美
(まつもと まさみ)
「学ぶ力は、夢を叶える力!」松島修楽館代表。中学3年生の時に「将来は塾の先生になる!」と決意し、大学1年生から大手個別指導塾で教務に就く。卒業後、そのまま室長として10年間勤務。その後、新興のインターネット予備校で生徒サポートの仕事に携わった後、2013年に松島修楽館を開業。単なるテストのための勉強だけではなく、「どんな夢でも、正しい努力によって叶えることができる」ということを子供たちに伝えるため、根本的な「学ぶ力」を育むことを重視した指導を行っている。2人の高校生の母。趣味はサックス、タップダンス。