他者にも優しい子供たちを育てるために ~SDGsを取り扱ったアクティブラーニング~

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略である。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標のことだ。いま現在の日本では3人に1人が聞いたことがあると言われている。

世界中が協力し合い達成すべき目標ということで、入試問題や面接などで聞かれることも多くなった。実際に指導した生徒からも、昨年の大学推薦入試でこのSDGsについて聞かれたと聞いた。近年の流行として教室で一緒に調べていたので、「面接でも慌てることなく答えることができた」と言っていた。最近になって私の娘が通う高校でも、アクティブラーニングの一環としてSDGsをテーマに調べ学習をしたようだ。

そういった世の中の流れから昨年、4塾合同模試の後にSDGsについて子供たちに調べさせ、各グループで発表をさせてみた。結果は散々で、知らない生徒同士の遠慮もあって意見が出ず、時間ばかりかかって考察まで進めることができなかった。

その経験を踏まえ、今回は1年間一緒にライブ授業を受けてきた子供たちとSDGsについて調べ学習をしてみた。この1年はオンライン上ではあったが、顔や名前を知っているうえ、普段の授業で発言をする間柄なので、緊張も多少は薄らぐだろうとふんだ。また、調べさせるデバイスも普段から自分で使い慣れている携帯やPC、タブレットを使ってもらった。この2点が大きく作用したのか、子供たちは私たちの想像をはるかに超えた調べ学習を発表してくれたのだ。

テーマも子供たちがイメージしやすい目標11「住み続けられるまちづくりを」を選んだ。事前に調べるためのリンク集を渡したりはしたが、子供たちは自分でどんどん検索をして調べ進めてくれたようだった。こういった調べ学習はグループでさせるより、一人で進めた方が効率が良いのかもしれない。一見、グループで調べさせた方がたくさん意見が出て良さそうに見えるが、実際には一人で調べたときの方が細かく調べたり、多岐にわたって調べてきたりと、調べものの量がかなり多かった。これは、私たちの予想を覆す結果となった。

ある生徒はユニセフの水と衛生の活動を知り、サイトから実際に募金をしてみたという。その行動力には脱帽だ。ただ調べるだけではなく、実際に行動し、意見を述べる。そして、その募金の手順を動画に撮って送ってくれた。短時間で素晴らしい行動力だ。

またある生徒は、自分の生まれ故郷の町の取り組みを調べて発表してくれた。私たちが用意したリンクに留まらず、自分が生まれた町がどんな取り組みをしているのかを、自分の問題として調べてくれたようだ。その町はとても面白い取り組みをしていて、非接触型のスランプラリーを行っており、スタンプが集まると特産品などをプレゼントしてくれるそうだ。こういった取り組みについて、恥ずかしながら私は知らなかった。みんなで楽しみながら続けることが大事だと、その子はまとめてくれていた。感想もあっぱれである。

ここに紹介しきれなかった発表も含め、どれも素晴らしい内容だった。15歳の子供たちが世界の問題に目を向け、真剣に考え、意見をまとめ、発表する。しかも、2分という短い発表時間の中で。そして、一人ひとりの発表をメモし、最後は投票を行った。優劣をつけるのではなく、どの発表が一番自分の腑に落ちたかで票を投じてもらった。

こういった経験はすべて、オンラインだからこそできたことだと思う。自分の知らなかった世界を知り、問題解決について考える。それを、近くの人たちだけでまとまるのではなく、遠く離れた人ともディスカッションする。今度は、国境も超えて子供たちの意見を聞いてみたい。それもオンラインならきっと可能になり、子供たちの視野もきっと広がると思う。

自分だけでなく、自分の国だけでなく、他者に優しい子供たちへ育てていく一歩として、この取り組みはぜひ続けていきたいと強く思う。

この記事を書いたひと

松本 正美
(まつもと まさみ)

「学ぶ力は、夢を叶える力!」松島修楽館代表。中学3年生の時に「将来は塾の先生になる!」と決意し、大学1年生から大手個別指導塾で教務に就く。卒業後、そのまま室長として10年間勤務。その後、新興のインターネット予備校で生徒サポートの仕事に携わった後、2013年に松島修楽館を開業。単なるテストのための勉強だけではなく、「どんな夢でも、正しい努力によって叶えることができる」ということを子どもたちに伝えるため、根本的な「学ぶ力」を育むことを重視した指導を行っている。2人の高校生の母。趣味はサックス、タップダンス。