頭でっかちで何ができる? まずは楽しんで行動しよう!~SDGsを楽しむ~
2015年に国連でSDGsが採択されてから6年。最近では17色のカラフルなパネルを街で見かけたり、胸にバッチをつけている人を見る機会が増えた。かなり社会に浸透してきていると感じる。もちろん個人個人または会社で、目標達成に向けて努力もしていると思う。
でもそれは、国連で決められたから? 周りの企業がしているから? 国が推奨しているから? 本当にいつも環境のこと、考えている? ゴールに向けて行動している? それは義務感から? 本当の善意から? たくさんの疑問符が付く。
学校の教科書でも「持続可能な社会」を目指さなければならないと書いてある。これは、義務なのか?
そういう私も、いつもネットや本でSDGsについて見聞きはしているが、実際に行動してはこなかった。これでは、単なる知識としてしかSDGsを理解できていないのと同じだ。そこで“論より行動”ということで、私はこの夏、初めて海岸清掃のボランティアに参加した。
「世界一ハードルの低いビーチクリーン」を掲げる『クラゲ連合』のみなさんが主催する海岸清掃活動である。世界一ハードルが低いならば、ふだん教室のクーラーが効いている教室で生活している私でも参加できそうと思ったからだ。
彼女たちの活動モットーは「楽しむ」。この1択。他に選択肢はない。楽しく海で遊び、そして海を守り、海で学ぶ。この循環をとても大切にしている。楽しくなくては続かない。続けることに意味がある。なかなか実践は難しいが、彼女たちはそれをしっかり体現している。
参加した当日は酷暑だった。とにかく暑い。砂浜も焼けている。ゴミ拾いなんて誰も協力してくれないよ……と最初は思った。しかし、ここは世界一ハードルの低いビーチクリーン。「1つでもいいよ!」と、海で遊んでいる人たちにもどんどん声をかけていく。塵も積もれば何とやら。たくさんのゴミが集まってきた。
実際にゴミを拾って来てくれた人には、マイクロプラスチックを使った可愛いチャームをプレゼント。そして、子供にはかき氷のおまけ付き。かき氷欲しさでもいいじゃないか。海岸がキレイになるなら、かき氷をおいしく食べてくれるなら――と太っ腹。
「ゴミを拾わなければならない」と義務感で清掃をしていると、「漁師の人が魚の網をきちんとメンテナンスして片付ければいいのに。それをしなかった漁師が悪い」「こんなにたくさんプラスチックのゴミがあるなんて……これを使って捨てた人が悪い」と、誰かを悪者にしてしまいがちだ。
しかし彼女たちは、「ゴミも、それを捨てる人のことも、全部悪いものとして捉えないように」という気持ちで活動している。彼女たちにとっては、このゴミも漁網も宝物。海で拾ったマイクロプラスチックがチャームとなり、漁網すらもアクセサリーとなる。すべてが笑顔と創造をかきたてる材料となり得るのだ。
素敵な思想だと、私は強く感銘を受けた。清掃中、暑くて誰かがテントで休んでいても気にならない。脱線して海で遊び始めても気にならない。この場を楽しんでくれること。これこそが持続可能な活動の原動力。
そして彼女たちは、オンラインで同時刻に日本各所の海岸をつなぎ、ビーチクリーンリレーも行っている。ときにはドレスコードを設け、活動してくれる人々に一体感を持たせて盛り上げる。離れている人たちとも楽しむことを忘れない。
次回は世界各国の仲間とも中継し、ビーチクリーンの活動のバトンをつないでいくそうだ。これこそ、日本だけでなく、世界に目を向けたSDGs活動だと思う。
子供たちは画面越しに世界の様々なゴミを目にするだろう。日本にはないゴミもたくさんあるはずだ。もしかすると、日本から流れ着いたゴミを目にするかもしれない。こういった取り組みの中で、子供たちは何を思い、行動するのであろうか。
持続可能な社会において、私たちの世代だけでの問題解決は難しい。次世代の子供たちにも協力をお願いすることになる。義務でバトンをつなぐのではなく、「楽しいからバトンもらうね!」と言ってもらえる活動を、私たち大人は考えていく必要があると思う。
この記事を書いたひと
松本 正美
(まつもと まさみ)
「学ぶ力は、夢を叶える力!」松島修楽館代表。中学3年生の時に「将来は塾の先生になる!」と決意し、大学1年生から大手個別指導塾で教務に就く。卒業後、そのまま室長として10年間勤務。その後、新興のインターネット予備校で生徒サポートの仕事に携わった後、2013年に松島修楽館を開業。単なるテストのための勉強だけではなく、「どんな夢でも、正しい努力によって叶えることができる」ということを子供たちに伝えるため、根本的な「学ぶ力」を育むことを重視した指導を行っている。2人の高校生の母。趣味はサックス、タップダンス。