GIGAスクール構想がいま現在抱えている課題は?
 ―令和3年7月末現在―

政府は、全国の児童生徒に1人1台の端末を用意し、その端末を使うにあたり必要な通信環境の整備を整える「GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想」を進めています。当初は令和5年の達成を目指していましたが、新型コロナウィルス感染症拡大にともない、令和3年3月末までに達成するように目標が変更されています。

令和3年8月、文部科学省が「端末利活用等の実態調査(令和3年7月末時点)」の速報値を発表しました。現在、全国の公立小学校・中学校等での端末の利活用開始状況はどのようになっているのでしょうか。

令和3年7月末現在の端末の整備状況、整備されていない場合の理由とは?

文部科学省が全国の1,812の自治体に対して小学校.・中学校等を対象に端末の利活用開始状況の調査を行ったところ、公立小学校等の96.1%、中学校等の96.5%が「全学年」もしくは「一部の学年」で端末の利活用を開始しています。

GIGAスクール構想 端末の利用状況
端末の利用状況(文部科学省)

また、全自治体のうち96.1%にあたる1,742自治体等では、児童・生徒の手もとに端末がわたり、インターネットの整備を含めて学校での利用が可能な状態となっています。令和3年2月時点の予定では、令和2年度内に全自治体の97.6%が納品完了予定となっていましたので、ほぼ予定どおりに納品が進んでいることがわかります。

納品が完了していない自治体における主な要因として次のような理由が挙げられます。

  • 需給状態のひっ迫により、一部の台数を先行して調達
  • 全台数の予算確保が困難であったため、一部の台数を先行して調達

端末を持ち帰り学習する環境は?

文部科学省の調査によると、平常時でも端末を持ち帰り学習できる環境を整え実施している学校は25.3%、準備中の学校は51.0%、実施・準備をしていない学校は23.7%という結果が出ています。

平常時の端末持ち帰り学習状況

一方、非常時に限り端末を持ち帰り学習できる環境を整えているかどうかについては、準備が終わっている学校が64.3%、準備中の学校は31.9%、実施・準備をしていない学校は3.7%となっています。

非常時端末森帰り状況

この調査により、多くの学校で非常時だけではなく、平常時でも端末を持ち帰って学習できる環境にしようと考えていることがわかります。

デジタル庁がGIGAスクール構想についてアンケートを実施 今後の課題は?

令和3年7月、教育関係者に対しデジタル庁が「GIGAスクール構想」に関するアンケートを実施しています。このアンケートに対して児童生徒から約21.7万件、教職員・保護者等からは約4.2万件と多くの意見が寄せられました。

主な意見としては、次のようなものが挙げられます。

「GIGAスクール構想」に関する主な意見

  • ネットワーク回線が遅い
  • 持ち帰れない、使う授業が限られている
  • 教科書をデジタル化してほしい
  • 教職員のICT活用のサポートが必要
  • 効果的な活用事例を発信してほしい

また、このアンケートにより教職員、児童・生徒それぞれが、さまざまな課題を抱えていることがわかりました。

教職員が抱える課題

教職員が感じる課題としては、「教職員向けのICT環境が整備されていない」「担当教科での効果的な活用方法が分からない」「リテラシーの高い教員に業務負担が偏る」といった意見が挙げられます。

教職員が抱える課題

児童・生徒が抱える課題

児童・生徒について感じる課題としては、「学習以外の用途に使用してしまう」「情報モラルが不足している」などが挙げられます。

児童が抱える課題

さいごに

GIGAスクール構想はまだまだ始まったばかりで、学校側にも児童・生徒側にも多くの課題があることがわかりました。『koedo』では、現在抱えている課題をどのようにクリアしていくのか、そして教育現場がどのように変化しているのかを引き続き観測していこうと考えています。

(参考)

koedo事業部