2022年はこども会DX元年

2021年11月4日

「お母さん、今日から音読の宿題見らんでいいけん!」

ある日、小学校から帰ってくるなり息子が言い放った。事情がわからずにいると、息子は学校から貸与されたタブレットを開き、なんとそこに自分の音読する姿を録画し出した。どうやら、子どもたちが動画を提出すると、それを先生の方でチェックしてくれるシステムに変わったようだ。

まさかこんなふうに宿題をする時代が来るなんて思ってもみなかったので、昭和生まれの母は、ただただびっくりするばかりだった。

しかし、真面目なことを言えば、私は音読を通して息子がどれぐらいのレベルの勉強をしているのかを把握していたし、ご飯を食べながら学習内容を話題にすることも多かったので、この合理的なやり方が果たして子どものためになるのかどうかは疑問に思った。

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翻って子ども会の話。私の住む地域では、小学生の子を持つ親が輪番で役員をして、子どもたちの行事を企画・開催する「こども会」という組織が存在する。

息子自身は習い事をしているので、土日の子ども会行事にはほとんど参加できていないのだが、地域の慣習として親は……というか母親はその役員を務めないといけないようになっているらしい。そこで来年度息子が6年生になる私に、子ども会会長のお鉢が回ってきた。どうせ誰かがしないといけないことなので、打診があったときに私は二つ返事で引き受けた。

ところがである。いざ、打ち合わせが始まると、とにかく時間と紙の無駄が多い。

まず会議。20人程度のお母さんたちが一堂に会して話し合うと言うが、コロナのこの時期に感染の可能性があるし、第一小さい子どもを抱えたお母さんばかりの集まりなのに、子どもを置いて家を空けるなんて本末転倒。

そこで、「Zoomに切り替えましょう」と提案すると、前年度の役員さんは目を白黒。「Zoomって聞いたことあるけど、使ったことない」というので、すぐにiOSとアンドロイドとパソコンのアプリのインストールの仕方を送った。会議はまだ開催されていないが、おそらく入室に手間取るお母さんが続出することが予想される。

そして書類。複数の人が紙の原稿を持ち寄って1つの書類にしたり、USBの貸し借りをしたりするのは無駄が多いので、「Googleドライブで管理し、複数で編集できるようにしましょう」と提案すると、「まったくついていけない」と言われてしまった。

正直言って、私はデジタルに疎い方である。

遡ること10数年前。私は高校の国語の教員をしており、現場で使うのは「一太郎」という日本語のワープロ機能に特化したソフトだけだった。けれども、退職して自分で事業を始めてみるとWordが使えないことには話にならないことがわかり、パソコン教室に通ってWordとExcelの必要最低限のスキルを身に付けた。

きちんと習ったのはこれだけで、あとは必要な場面で、つど自分で使いながら覚えていった。だから、世の中の人もみなそんなものだと思っていたが、どうやら世のお母さんたちは違うらしい。

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子どもたちは小学生ですらもうITを使いこなしている。親がそのすべてを把握する必要はないが、やはり子どもがどんな仕組みで何をしているのかくらいは知っておく必要があると思う。そのためには、お母さんたちも「できない」とあきらめるのではなく、まず挑戦してみないといけない。

そもそも私たちの世代は、ガラケーからスマホへの移行を経験している。スマホに初めて電話がかかってきた日。私は取り方がわからず電話に出られなかった。そんな話をすると「私も!」という人は多い。それがいまやスマホは使いこなせているのだから、Zoomの入室や書類のクラウド管理だってやればできるはずなのだ。

前年度の役員さんからは、「どうぞ思い切って子ども会を改革してほしい」と言われているので、私はこの小さな地域で小さなDXを敢行するつもりでいる。

この記事を書いたひと

木下 真紀子
(きのした まきこ)

コンセプトライター。14年間公立高校の国語教諭を務め、長男出産後退職。フリーランスとなる。教員時代のモットーは、生徒に「大人になるって楽しいことだ」と背中で語ること。それは子育てをしている今も変わらない。すべての子どもが大人になることに夢を持てる社会にしたいという思いが根底にある。また、無類の台湾好き。2004年に初めて訪れた台湾で人に惚れ込み、2013年に子連れ語学留学を果たす。2029年には台湾に単身移住予定。