2022年はこども会DX元年 その2

2022年7月29日

前回のあらすじ

私の住む地域では、小学生の子を持つ親が輪番で役員をして、子どもたちの行事を企画・運営するこども会という組織が存在する。地域の慣習として母親がその役員を務めないといけない。そこで来年度息子が6年生になる私に、子ども会会長のお鉢が回ってきた。最初の話し合いを「Zoomでしよう」と提案したところ、目を白黒するお母さんたち……。

* * *

事前に対象者にiOSとアンドロイドとパソコンのアプリのインストールの仕方を送ったものの、全員が無事Zoom入室できるのか不安だった。案の定、旧三役のお母さんたちが「何かあった時一緒にいたほうが心強いから」とZoomの時間に全員我が家にやってきた。この時点で「密を避けよう」という私の配慮は水泡に帰した。

そして、いよいよ打ち合わせの時間。手間取ってZoom入室できなかったのは一人だけで、みなさん思いのほか時間通りに入室できていた。しかし、画面をオンにできない。名前を変更できない。そんな事態に、時間通りに打ち合わせは始められなかった。

ようやく打ち合わせが始まったので、私は画面共有でWordを開き、議事録を取り始めた。するとざわつくお母さんたち。どうやら画面共有を初めて見た人が多かったらしい。私は議事録を総意のもと残したいと思っただけなのだ。それなのに、なんだか自分のスキルを見せびらかしたようで少々極まりが悪かったが、ここは効率第一。黙々と議事録を取り、最後に新会長として挨拶をして打ち合わせを終えた。

その後、我が家で延々と世間話をする旧役員のお母さんたち。「なぜ帰らない?」という言葉を飲み込み、その横で黙々と議事録をPDFにし、全員に送付。許可を得て録画したZoomを非公開でYouTubeアップし、参加できなかったお母さんたちに送付。世間話の途中で「何をしているの?」と聞かれたので、上記のことをしていると答えたら、これまた非常に驚かれてしまった。

まず、PDFが何だか分からないというのだ! これには私も驚いた。そういえば仕事でお世話になっている年配の方も、領収書を写真で送って来られたので、「PDFでお願いします」というと、手書きの領収書をスキャナーで読み込み、PDFにして送って来られたことがあった。これにはもうお手上げで、それ以上のことは言えなかった。しかし、そもそものPDFが分からないとは、ゆゆしき事態である。これでは今後の活動に支障が出るので一応の説明をしたけれど、果たして理解してもらえたのか……。

さらに驚かれたのはYouTube。今や小学生のなりたい職業に上位ランクするユーチューバー。それなのに、お母さんたちはアップの仕方を知らないという。

これについては、私が以前ちょっとだけ動画の仕事もしていたことがあるので、一日の長があるとは思われるが、そもそも「そこらへんの主婦がYouTubeに動画をアップできるなんて!?」という反応には驚いた。今や年端のいかない子どもも年配の方も自分のチャンネルを持って発信しているのに。

先日行われた子ども会のアンケートでは、ほとんどのお母さんが仕事を持っているという。しかし、私の肌感覚ではITスキルがないお母さんが多い。いろいろな仕事があるのは百も承知だが、こんなにもITスキルがなくて仕事に支障がないのかと心配してしまう。

その一方で、フリマアプリを使いこなしたり、コロナ禍における各種補助金を使ってのお食事券や旅行券はきちんと取得できたりしているのだから、なんとも不思議な現象である。

かくいう私もかなりのアナログであるという自覚がある。だから、何も全員がすべからくITスキルに長けているべきだとは思わないが、それにしてもPDFなどの基礎知識がないのはいかがなものか。

春から本格的に始まる子ども会活動に戦々恐々である。おそらく次の戦いはスプレッドシートだ。

この記事を書いたひと

ライター:木下真紀子様

木下 真紀子
(きのした まきこ)

コンセプトライター。14年間公立高校の国語教諭を務め、長男出産後退職。フリーランスとなる。教員時代のモットーは、生徒に「大人になるって楽しいことだ」と背中で語ること。それは子育てをしている今も変わらない。すべての子どもが大人になることに夢を持てる社会にしたいという思いが根底にある。また、無類の台湾好き。2004年に初めて訪れた台湾で人に惚れ込み、2013年に子連れ語学留学を果たす。2029年には台湾に単身移住予定。