小学校の「算数科」におけるICT活用の事例やメリットとは

2021年2月20日

 GIGAスクール構想による1人1台端末が推進される中、各教科でICTをどのように活用していくかについて議論や研究が活発になされています。今回は文部科学省の資料を元に、算数科におけるICT活用の必要性や事例のほか、実際に子どもたちが享受できる学びについて解説します。

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算数科におけるICTの活用の必要性とは

 小学校の主要科目のひとつである算数科において、ICT教育が必要とされているのはなぜでしょうか。

 文部科学省の資料によると、算数科の指導で教師に求められる視点として、算数・数学の内容を確実に理解し、数学的な思考を育むことや、さまざまなデータを収集・整理・分析し、その結果をもとに判断・表現できる力の育成を挙げています。

 これらの2つの力は、これからの子どもたちが未来を生きるために必要な“21世紀スキル”と呼ばれる力と結びついており、日常生活や社会の複雑な問題を解決するためにも欠かせないもの。

 算数科におけるICT教育の活用は、タブレットやパソコンを使用した具体的な体験をともなう学習を通して、子どもたちに算数の論理を効果的に理解させるとともに、考える力や表現する力を鍛えていくうえで極めて重要です。

 ICTは、学習者の学びの過程を記録できるだけでなく、そのデータを研究者や指導者、そして学んでいる本人が検証したり、次にどうしていかなければならないか考えたりと、未来に活かすことができるツールです。

 国はGIGAスクール構想を掲げ、ICT教育がすべての子どもたちに行き届くよう整備の推進に力を注いでいます。

小学校の算数科におけるICT活用の事例

 算数科のICT活用事例としては、下記の5点を挙げています。

  • 表やグラフの作成
  • プログラミングを使用した図形の作成
  • 問題提示の利便性(情報の拡大)
  • デジタル教材使用による学びの効率化
  • 情報共有や試行錯誤による思考の広がり

 たとえば表計算ソフトを使えば、一瞬で表やグラフを作成できるとともに、円グラフや棒グラフなどさまざまな見え方のグラフに変化させたり、何が一番最適なのかを考えたりすることができるでしょう。

 実際に「自分の主張を適切に表すグラフを見付けよう」という5年生の授業では、学年のみんなに聞いた好きなスポーツをさまざまなグラフに表して、どんなスポーツが人気があるのか、クラス別に見た人気スポーツは何か、といった学びの場面でICTが活用されています。

 また、ICTツールの使用による図形指導では、図形の作成から変遷を一瞬で可能にするので、子どもたちはより視覚的に図形を学ぶことができるだけでなく、数学的思考や想像力を高めていくことも可能に。

 ほかにも、書く・消すことが何度でも自由に行えるデジタル教科書は、プリントなどがいらず配布や書き込みを効率的にしてくれます。このように、ノートやプリントよりもやり直しが手軽にできるデジタルツールの活用は、子どもたちの「やってみよう」という好奇心を後押しするだけでなく、いままでよりもさらに試行錯誤の幅を広げていくでしょう。

 さらに、ICTツールの活用による情報共有は、自分の意見を発表したり、クラスの回答や意見を共有したりと対話的な学びも効率的に進めることができるため、算数科の授業がいまよりもますます濃くなっていくことが期待できるのではないでしょうか。

ICTの活用は子どもの算数の学びを深化

 小学校の算数のICT活用のメリットとして、表やグラフ、図形作成において子どもたちが簡単にデータを動かすことができること、デジタル教材使用による問題のわかりやすさや手軽さが挙げられます。

 これらは、子どもたちの算数思考を試行錯誤によって鍛えることを可能にするだけでなく、算数への興味や関心を育み、算数科の学びをより深めていけるでしょう。

 また、子どもたちの学びをデータとして記録できるICTツールの活用は、いままで授業やテストでしか測ることができなかった子どもたちの学びの過程をより深く知ることができるため、一人ひとりに寄り添った評価や指導を実現する近道となりそうです。

 とはいえ、実際に図形を作るといった体験も算数科の学びにおいては重要ですし、ICTを使いこなせない子どものサポートも並行して行っていかなければなりません。

 今後の算数科の指導では、子どもたちにとって最適な方法を考えながらICTをうまく活用することが大切なポイントになるでしょう。

■出典:算数科の指導におけるICTの活用について/文部科学省

この記事をかいた人

basico

1980年生まれ。埼玉県在住。小5の息子の母。大学では初等教育を専攻し教員免許を取得するものの、アパレルの世界へ飛び込む。結婚後、接客業を経てライターの道へ。仕事においても子育てにおいても“伝え方”に奮闘中。座右の銘は「継続は力なり」。日々の“気づき”を大切にしています。