小学校の「国語科」におけるICT活用の事例やメリットとは

2021年3月12日

GIGAスクール構想による1人1台端末が推進される中、各教科においてICTをどのように活用していくか議論や研究が活発になされています。今回は、文部科学省の資料を参考に、国語科におけるICT活用に注目。国語科における目標や、ICT活用のメリット、今後の学びで期待できることについて解説します。

国語科におけるICT活用で目指すこと

小学校の主要科目のひとつである国語科では、どのようにICTを活用することが求められているのでしょうか。

新学習指導要領では、国語科について、思考力や判断力、表現力をよりいっそう伸ばすために、国語科の学習過程である以下の3つの領域においてICTの活用を目指しています。

  • 話すこと、聞くこと
  • 書くこと
  • 読むこと

国語科における具体的なICT活用場面は、

  • 情報を収集して整理する
  • 自分の考えを深める
  • 自分の意見を表現、共有する
  • 知識や技能を習得する
  • 学習の見通しや蓄積を重ねる

が想定されています。例えば、情報収集においてはインターネットを活用したり、資料の作成や発表の場面ではプレゼンテーションソフトを活用したりといったICTの活用を図っていきたいと考えています。

また、デジタル教科書や動画等を活用した学習によって、子どもたちがこれから学ぶことの見通しを知ることで、より深い学びを得るといったことなども期待されています。

国語科におけるICT活用の事例

GIGAスクール構想によって実現する1人1台端末の活用事例では、「関心のある事例について投書を書く」という単元のなかで、文章作成ソフトを使用するだけでなく、自分の興味や関心のある事柄を調べて下書きをしたり、それをグループ学習によってお互いに発表したりしながら、より適切な表現になるよう推敲をしていくといった内容が紹介されています。

ここでICT活用のポイントになるのが、“書く過程を記録し、よりよい文章に役立てる”ということ。

ノートでの記述は、文章を削除したり追記したりするといった推敲が難しいですが、文書作成ソフトを使えば、コメント機能を用いた文章に対するフィードバックを得られるだけでなく、追記や修正を重ねてよりわかりやすい表現に推敲していくことが簡単にできるようになります。

このような学習過程を重ねることは、子どもたちが自分で課題に気づき、改善していく力を身につけていくことを期待できると共に、学習履歴が残ることで今後の学びに生かしていくことができると言えるでしょう。

また、コメントや修正履歴のあるデータを提出すれば、教師もそれぞれの子どもの学習過程が把握できるため、一人ひとりに合った指導ができ、かつ評価の信頼性もアップするというメリットも。

それだけでなく、ICTの活用はデータを保存して蓄積することができるようになるので、学習の振り返りを長いスパンで可能にし、自分自身の課題に気づくことができるといった良さもあります。

ICTの活用は子どもの国語力を広げる

自分自身の意見を伝える場面では、それを裏付けるデータをインターネット上から探してきて追加したり、読み手や聞き手がより納得できる手段を得ることも簡単にできるようになります。

さらに、表やグラフなどを活用してどう文章を構成して伝えるかといった編集力も育めることから、国語科におけるICTの活用によって、子どもの書く力や表現力の幅をより広げていくことが期待できます。

例えば作文などでは文章のみの構成ですが、相手にわかりやすく情報を伝えるという視点で考えると、データを示す表の挿入やイメージ写真の挿入といった手段の活用によって、よりわかりやすい表現が可能になります。

このような体験の積み重ねは、子どもたちが国語力を育んでいくと同時に、表現の自由度をより広げていくことを可能にするでしょう。

教師は、子どもたちに答えを示すのではなく、問いかけたり議論をしたりしながら、子どもたちの学びに伴走して授業を進めていくのはもちろん、一人ひとりの子どもたちが、誰一人遅れることなく学びの機会が得られるよう、ICT活用のサポートを積極的に行っていくことが大切。子どもたちの主体的な学びはますます深まり、確かな学力へとつながっていくでしょう。

■出典: 国語科の指導におけるICTの活用について

この記事を書いたひと

basico

1980年生まれ。埼玉県在住。小5の息子の母。大学では初等教育を専攻し教員免許を取得するものの、アパレルの世界へ飛び込む。結婚後、接客業を経てライターの道へ。仕事においても子育てにおいても“伝え方”に奮闘中。座右の銘は「継続は力なり」。日々の“気づき”を大切にしています。