ICT教育とは? 「IT」と「ICT」の違い、ICT教育の活用・効果について

「学習指導要領」は、時代のニーズに合わせて約10年ごとに改定されていて、教科書なども学習指導要領の改訂を受けて変わります。最新の学習指導要領は平成29年に改定され、小学校では令和2年度、中学校では令和3年度から全面実施、高等学校では令和4年度の入学生から学年進行で実施することになっています。

この学習指導要領の総則の中で、「情報活用能力を、言語能力と同様に学習の基盤となる資質・能力と位置づけ」「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること」と明記されています。つまり、学校においてICT環境を整え、ICTを活用した学習活動の充実に配慮するように政府が要請しているということです。

では、「ICTを活用した学習」とは、どのようなことを指しているのでしょうか?

「IT」と「ICT」の違いは……?

「IT業界」「ITを駆使した」など、さまざまな場面で「IT」という言葉を耳にします。ITとは「Information Technology(情報技術)」という意味です。パソコンのハードウエアやOA機器、インターネットなどコンピュータやデータ通信に関する通信技術のことで、日本では2000年ごろから使われるようになりました。

たとえば、会社内で手書きしていた帳簿類を、パソコンで入力して集計する……というような、仕事の効率化のためにパソコン端末を使うようになることをIT化と言います。

一方、教育現場では、「IT」ではなく「ICT」という言葉がよく使われています。「ICT」とは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」のことで、通信技術を利用したコミュニケーションのことを言います。SNSの発達と同時期に広まった言葉で、「情報発信」を強調するニュアンスがあると言えます。

一般的に「IT」がコンピュータ関連の技術そのものを指す用語であるのに対し、「ICT」は情報を伝達することを重視し、医療や教育の現場における技術の活用法、またはその方法論といったことを指しています。国際的には「ICT」という言葉がよく使われており、日本でいうITの意味も含めてICTと呼ばれています。

ICTを活用した授業とは……?

ICTを活用した授業として文部科学省は3つのステップを考えています。

  • ステップ1 …「すぐにでも」「どの教科でも」「誰でも」利用できるようにする。
  • ステップ2 …教科の学びを深め、教科の学びの本質に迫る利用ができるようになる。
  • ステップ3 …教科の学びをつなぎ、社会課題等の解決や一人ひとりの夢の実現に活かす利用ができるようになる。

ステップ1では、たとえば児童生徒一人ひとりが検索サイトを活用して新聞記事や動画等を収集・整理したり、文章作成ソフトやプレゼンソフトを利用して、リアルタイムで考えを共有しながら共同で編集したりというようなことが期待されています。また、教師が児童生徒一人ひとりの反応や考えを即時に把握しながら授業を進めることや、学習用デジタル教材を活用して、一人ひとりの進捗状況を可視化できるようになります。

そしてステップ2では、たとえば社会の授業で国内外のデータを加工したり、理科の授業で行う実験を動画で記録することで、起きている現象を丁寧に分析したりすること。英語の授業では海外の児童生徒とつながることで、英語での交流や議論を行うといったことが期待されています。

ステップ3になると、社会で実際に起きている問題に関わる課題を見つけ、そのことについて文献を検索したりネット検索、インタビューをしたりすることで情報を収集し、それを整理・分析して発表できるようになることが期待されています。

ICT教育の効果

現在、政府の主導で小学校・中学校・高等学校において1人1台の端末の配備および、その端末を利用するために必要なネットワーク環境等の整備が進められています。では、政府はなぜICTを活用した学習を進めているのでしょうか?

それは、ICTを活用することにより、子どもたちの学習意欲の向上が期待されるからです。

少し古い情報ですが、平成22年から平成24年の年度末および、平成25年12月に実施された調査研究において、ICTを活用して授業を行った教師の90%以上が「意欲・理解」の観点において効果を認めています。

また、小学生の80%以上が「コンピュータを使った学習は楽しい、もっとしたい、わかりやすい」と回答。中学生においても、90%以上の生徒が「コンピュータを利用した授業はわかりやすい」、85%以上の生徒が「学校に自分専用のコンピュータがあると学習に役立つと思う」と回答しています。

さらに、koedoが令和2年9月に全国の学校関係者や保護者など162人を対象に行ったIT利用が進む教育現場周辺アンケートにおいても、「端末を利用して楽しく学べるようになった」「動画授業を何回も見返し、復習するようになった」「自主的に課題に取り組もうとする姿勢ができた」など、ICTを利用した授業の効果を認めています。

ICT教育のメリットと今後の課題

ICT教育を続けることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

授業が楽しくなる

文字だけでは頭の中にイメージしにくかったことを、動画や画像を使って視覚だけではなく聴覚にも訴えかけるような説明ができるようになるため、楽しみながら勉強できます。

授業に集中しやすくなる

たとえば電子黒板を使用した場合、児童生徒の端末と共有できるためノートに書き写す手間がなくなります。そのため、書き写すことに夢中で教師の話を聞き漏らす……というようなことがなくなるなど、授業に集中しやすくなります。また、ノートにまとめることが苦手な子どもと得意な子どもの差がなくなることも期待されます。

授業に参加しやすくなる

これまで教師の質問に答える場合、挙手をしてクラス全員の前で話さなければいけませんでした。しかし、ICT機器を導入することで、授業中に発言することが苦手な児童生徒も、端末を使った共同編集などで積極的に参加しやすくなります。

一人ひとりの能力に合った勉強ができるようになる

これまで教師は、児童生徒が授業を理解できていようとできていなかろうと関係なく、授業を先に進めるしかありませんでした。しかし、1人1台ずつ端末が配備された場合、理解ができているときには応用問題に進み、理解できていないときには基礎問題にじっくり取り組む……というようなことができるようになります。また、教師は児童生徒一人ひとりの能力に応じた出題やサポート・指導がしやすくなります。

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それでは、ICT教育を行っていくうえで、今後どのようなことが心配されているのでしょうか?

まず、ICT機器にトラブルが発生した場合に、授業が中断する恐れがあります。それに対応するために教師は、トラブルが発生した場合の対処方法を覚えなければいけません。また、端末が故障した場合には買い替える必要があるなど、金銭的な問題もあります。さらに、ICT環境は学校ごとに異なるため、教育の格差が生まれてしまう可能性があることも懸念事項として挙げられます。

一方、児童生徒側の心配として、端末を使って文章を書くことに慣れてしまうと、手書きで書くという機会が減り、漢字が書けなくなる可能性があります。また、インターネットを使ってなんでも調べることができるため、記憶力や想像力の低下につながるのではないかとも言われています。今後、こういったことに対し、どのように対応していくのかが各教育機関の課題として挙げられます。

さいごに

現在では、小学校入学前の子どもが当たり前のようにタブレットを使いこなしていることが珍しくありません。日常生活の中ではIT機器の利用が当たり前になっている一方で、これまで教育現場ではIT機器の利用が限られていました。ICT教育とは、パソコンや電子黒板などのICT機器を使うことで、よりわかりやすい授業を行えるようになる教育方法のことです。

「koedo」では今後も、ICT教育がどのように進み、そしてそれによって学校教育がどう変化していくのかを追っていきたいと考えています。

■参考

koedo事業部